- 著者
-
竹村 英一
- 出版者
- 公益社団法人 日本植物学会
- 雑誌
- 植物学雑誌 (ISSN:0006808X)
- 巻号頁・発行日
- vol.75, no.890, pp.324-330, 1962 (Released:2006-12-05)
- 参考文献数
- 13
- 被引用文献数
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1. L. aurea と L. radiata var. pumila の 人工雑種を作り出して, その形態学的および細胞学 的特徴をしらべた.2. この人工雑種は, 外部形態的には, 両親植物 の中間型を示し, 自然種のシロバナマンジュシャゲ (L. albifora) に大変よく似ている.3. 核学的には, 根端細胞において, 2n=18=4V+14Rを示し, 異質二倍体である.4. 花粉母細胞の減数分裂第一分裂前期に, この 人工雑種においても, シロバナマンジュシャゲにお けると同様なV形染色体の両腕に棒形染色体がそれ ぞれ1個ずつ対合した異形三価染色体を形成する.5. この人工雑種は, 外部形態, 核型および減数 分裂における染色体の行動が, シロバナマンジュシャゲとほとんど全く一致する. この事実によって, 稲荷山のシロバナマンジュシャゲ (シロバナヒガン バナ) は, ショウキランと二倍体ヒガンバナとの間 に生じた自然雑種であるという考えが正しいことを 証明することができた.