著者
竹澤 実 佐々木 誠
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.128-133, 2002-06-20

今回我々は,高橋らが慢性閉塞性肺疾患患者の評価のために開発した非支持上肢漸増運動負荷試験(Unsupported Incremental Upper Limb eXercise test ; UIULX test)の妥当性と,上肢使用日常生活活動との関連を若年健常女性14名を対象に検討した。UIULX testは高橋らの方法に従って行い,クリアーしたstageを記録した。上肢使用日常生活活動は,「棚に物を載せる」動作,「洗濯物を干す」動作,「食毒動作」,「洗面動作」,「整髪動作」,「更衣動作」の6項目とした。それぞれ呼吸循環反応と上肢,全身の自覚的運動強度を測定した。UIULX testではstageと全てのパラメーター間に有意な正の相関を認め,運動負荷試験としての妥当性の一部が確認された。上肢使用日常生活活動の各項目間では酸素摂取量,酸素脈,上肢・全身の自覚的運動強度は,活動間に有意な差を認め,心拍数,呼吸数,一回換気量では差は有意ではかった。次に,UIULX testの結果から,各パラメーターをUIULX testのstage値に換算した上で,活動内で値を比較したところ,整髪動作はパラメーターに差は認めなかったが,他の活動はパラメーター間に有意な差を認めた。UIULX test使用により上肢使用日常生活活動の運動特性が示され,UIULX testの臨床応用への可能性が示唆されたと考える。