著者
濱田 桂佑 佐々木 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.463-467, 2008 (Released:2008-07-28)
参考文献数
15
被引用文献数
8 4

〔目的〕本研究の目的は,静的ストレッチングがジャンプ能力に及ぼす効果について,生理学面ならびに機能面の2つの側面から検討することである。〔対象〕対象は,健常学生20名であった。〔方法〕静的ストレッチング前後で,生理学面として伸張反射の潜時,機能面として等運動性筋力(60 deg/secと240 deg/sec),ジャンプ能力として垂直跳び,立ち幅跳びを計測した。〔結果〕各項目を静的ストレッチング前後で比較したところ,ストレッチング後に伸張反射発現までの潜時,60 deg/secの筋力,垂直跳び,立ち幅跳びは有意に低下していた。〔結語〕静的ストレッチングを行った後にジャンプ能力が低下した。その原因として,筋紡錘の感受性低下ならびにゴルジ腱器官の関与による,筋緊張の調節にかかわる中枢神経系の筋緊張抑制メカニズムに基づく筋緊張低下に伴う筋力低下に加えて,伸張反射発現までの時間の延長によって筋収縮にタイミングの遅れが生じたことが示唆された。
著者
花里 俊廣 佐々木 誠 木川 剛志
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.76, no.668, pp.1771-1780, 2011-10-30 (Released:2012-01-25)
参考文献数
9

In this paper, we would like to clarify the way of differentiation among the dwelling unit plans by their spatial configuration in super-highrise condominiums developed in Tokyo Metropolitan Area. In the former part, through the interview to the architects, we illustrate their understanding toward the livingroom-connected type, which is used as relatively compact units, and corridor-connected type, which is used as larger and more privacy-secured units, is structured. In the latter part, we analyze that the variation among the livingroom-connected, intermediate and corridor-connected type is used for the ordering of unit plans, and that the order of the three unit plan types form an axis of values. We also point out that there are a few patterns of strategic unit arrangement in an apartment building and discuss that the architects use the axis to fulfill the various request from their clients.
著者
今村 浩一郎 濱住 啓之 渋谷 一彦 佐々木 誠
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.1568-1575, 2000-11-20
被引用文献数
51

We propose a method of cancelling the coupling loop interference at a relay station in a Single Frequency Network (SFN) in Digital Terrestrial Television Broadcasting (DTTB) using an Orthogonal Frequency Division Multiplexing (OFDM) signal. This loop from a transmitting antenna to a receiving antenna can distort and oscillate the signal. The loop is cancelled by a replica of it generated by a frequency-domain adaptive cancellation algorithm. The method covers both QAM-OFDM (Quadrature Amplitude Modulation-OFDM) and PSK-OFDM (Phase Shift Keying-OFDM). Computer simulation demonstrated that this method effectively cancels the loop.
著者
佐々木 誠人 鈴木 勝己 古川 英樹
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.1199-1201, 1990-03-25 (Released:2010-02-25)
参考文献数
6

In a selected group of 1 year to 70-year-old Japanese, 720 healthy subjects (380 males and 340 females) were investigated by examinating the joint hypermobility with the scoring system devised by Carter and Wilkinson.The following results were obtained. Joint hypermobility was greater in females than males. Joint hypermobility of upper limb was greater than that of the lower limb joint laxity decreased with age.
著者
木村 護郎 今野 宏亮 徳元 仁美 松原 由未子 粟井 瞳 佐々木 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.323-329, 2004 (Released:2005-01-29)
参考文献数
34

大腿四頭筋(Q),内・外側ハムストリング(H)各々の筋力の筋力比と大腿部肉離れの発生との関係を明らかにするために,スポーツ活動を行っている大学生27名を対象に,膝伸展筋力と膝屈曲筋力(下腿内旋位,中間位,外旋位)を測定した。対象者は,過去に大腿部肉離れを起こした経験のある学生(損傷群)10名,経験のない学生(対照群)17名の2群に分類し,対象肢は,損傷群における損傷肢と非損傷肢,ならびに対照群の両脚34肢(対照肢)とした。損傷群のうちの2名(陸上1名,バレーボール1名)はQの肉離れを経験しており,損傷側においてQの筋力は相対的に弱い傾向があることが示唆された。Hの肉離れを経験した者8名において,QならびにHの筋力が対照肢よりも損傷肢で高値であった。特に,外側Hを損傷した者のHの筋力は対照肢よりも損傷肢で強かった。Qの肉離れは,競技の動作特性ならびに相対的なQの筋力の不足が発生要因である可能性があり,外側Hを損傷した者は,その筋の動筋に対する拮抗作用としての収縮・弛緩の微調整の役割が強いか,不備が生じやすいと考えられた。
著者
花里 俊廣 佐々木 誠 温井 達也
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住総研研究論文集 (ISSN:21878188)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.89-100, 2012 (Released:2017-08-10)

本稿は,別荘地「普賢山落」の人間関係の豊かなコミュニティの形成に関して,1)別荘の所有者に「ものづくり」志向を持った人が多くおりコミュニティとして成立しやすかったこと,2)コミュニティの運営方法のルールやイベント等に特徴がみられたこと,3)別荘地特有の現象として滞在の時期が重なっていること,4)いくつかの出来事や事件などが偶然にコミュニティ形成にプラスに働いたこと,5)最小限で開放的な別荘建築がコミュニティ形成に好影響を与えたこと,という5点に基づき議論し,また,写真等で別荘建築について紹介するものである。
著者
今村 浩一郎 濱住 啓之 佐伯 暖 岡 重雄 渋谷 一彦 佐々木 誠 金井 隆夫
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.25, no.7, pp.53-58, 2001-01-30
被引用文献数
16

地上デジタル放送におけるSFNを放送波中継で実現する場合、中継放送所の送受アンテナ間の回り込みによる発振や信号の劣化が大きな問題となる。この回り込み対策として、回路的に回り込みを打ち消す回り込みキヤンセラ、ならびに、低サイドローブ特性を有する平面受信アンテナの開発を行っている。本報告では、平成12年5月に東北地区の地上デジタル放送研究開発用共同利用施設である白石中継局において行った放送波中継SFN実験の結果について述べる。実験は、回り込みキヤンセラと平面受信アンテナを使用し、送受アンテナ非分離の形式で行った。この実験において、回り込み波の強さが親局波よりも強い条件下でも、安定に中継できることを確認した。
著者
上田 実 入江 一浩 渡邉 秀典 品田 哲郎 小林 資正 叶 直樹 岡本 隆一 松永 茂樹 井本 正哉 半田 宏 渡辺 肇 佐々木 誠 木越 英夫 西川 俊夫 石橋 正己
出版者
東北大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

共同研究による本学術領域の推進により、多くの天然物の標的決定が行われた。これは、天然物化学者と生物学者の共同研究によって、ビーズテクノロジーの天然物への応用が拡大したこと、ならびに数多くの標的同定法が試行されたためである。これらの成果によって、多くの天然物が種標的と同時に複数のオフターゲットと結合することが明らかになった。天然物リガンドは、従前の理解のように、生体内において「鍵と鍵穴」の様に極めて特異性の高い作用機構を持つのではなく、生体内で「鍵束」のように機能し、複数の錠前と相互作用することを示している。本領域の研究成果によって、天然物リガンドの作用に関する理解は大きく変化したと言える。
著者
佐々木 誠 山上 弘義 白鳥 常男
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.17-23, 2000-01-31
被引用文献数
2

本研究の目的は, 下り勾配トレッドミル歩行の呼吸循環器障害患者への臨床応用の可能性の有無を考察することである。若年健常女性27名を対象に, 下り勾配トレッドミル歩行の運動負荷について, 上り勾配トレッドミル歩行のそれとの対比を含めて酸素搬送系の各指標および自覚的運動強度(RPE)から検討するために, 上り勾配と下り勾配でのトレッドミル運動負荷試験を実施した。運動負荷試験プロトコールは勾配0%から±15%まで7段階に2分毎にそれぞれ正負に漸増するものである。上り勾配では全指標が勾配漸増に伴って増加したのに対して, 下り勾配では酸素摂取量(V^^・O_2/kg)は-7%まで漸減した後-10%を境に増加傾向を示したが, 全値とも平地歩行より低値であった。酸素脈(O_2 pulse)もV^^・O_2/kgと同様の推移であったが, 心拍数(HR)は平地よりも僅かに低値のまま不変であり, 二重積(RPP)は平地歩行と同値で推移した。また, 分時換気量(V^^・_E)は-10%を最小とするV^^・O_2/kgと近似した推移を示したが, これは一回換気量(V_T)の漸減が理由と考えられ, 呼吸数(RR)は上り勾配と同様に漸増し続けた。更に, RPEは上り勾配ほど急峻ではないものの漸増した。以上より, 下り勾配歩行は酸素需要量が少ないにもかかわらず, 心筋酸素需要は減少せず浅く速い呼吸がもたらされ, 設定運動強度以上に"きつい運動"と感じられる特性があり, 呼吸循環器障害患者への臨床応用に否定的な要素が多かった。しかしながら, トレナビリティー, 慣れの効果, 筋収縮や歩行形態の相違による末梢効果や応用歩行への適応効果が期待される可能性が残されており, 更なる検討が必要と考えられた。
著者
石橋 靖子 佐竹 將宏 塩谷 隆信 佐々木 誠 高橋 仁美 菅原 慶勇 笠井 千景 清川 憲孝 渡邊 暢 藤井 清佳 河谷 正仁
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.469-473, 2005-05-31 (Released:2017-11-10)
参考文献数
17

吸気筋トレーニングによる吸気筋力の増強が期待される低負荷量を調べるために,健常成人を対象に,最大吸気口腔内圧の20%,15%,10%負荷にて1回15分間,1日2回,4週間にわたって吸気筋トレーニングを行った.結果,いずれのトレーニングでも,呼吸筋力は有意な増強を示したが,肺機能検査値には変化がみられなかった.本研究では,健常成人による低負荷量吸気筋トレーニングの効果がみられたことから,今後,臨床的な応用が示唆された.
著者
野田 拓斗 坂本 理々子 佐々木 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.421-424, 2020 (Released:2020-06-20)
参考文献数
13

〔目的〕身体活動量の多さが運動耐容能の高さや運動後の心拍数の回復過程(Heart Rate Recovery:HRR)に影響するかを明らかにすること.〔対象と方法〕健常学生18名を対象に身体活動測定器を着用させ,身体活動指標として運動量,歩数を求めた.また,運動負荷試験を実施し,最高酸素摂取量(peakVO2/kg),運動終了後5分まで1分ごとに心拍数の回復値を測定し,運動量,歩数との相関関係の検討を行った.〔結果〕身体活動指標とpeakVO2/kgとの間に相関関係はなかった.運動量とHRRの間には相関関係がなかったが,歩数とHRRとの間には相関関係があった.〔結語〕身体活動量は運動耐容能と関連しないこと,身体活動指標のうち,運動強度を反映する運動量はHRRと関係しないが,運動強度を反映しない歩数がHRRの早さに寄与していることが示唆された.
著者
佐々木 誠 佐野 雅俊 田中 靖子 山本 育由
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.420-423, 2006-05-10 (Released:2007-11-09)
参考文献数
8
被引用文献数
3 2

Recently, at very low doses, carvedilol has improved the treatment of chronic heart failure. In Tenri Hospital, prescriptions for low dose carvedilol had been prepared by grinding a 10 mg tablet, adding lactose to it, and packaging the resulting powder. However, the drug loss in these processes had been causing problems in treating chronic heart failure. The present study examines the extent of drug loss in the grinding, sifting, and automatic packaging processes and the causes.The overall drug loss rate, as calculated by measuring the weight of the powder in the finished package, was 24.8±12.8, 33.9±13.2, and 28.0±9.3% for the 1.25, 2.5, and 5 mg packages, respectively, a considerable loss. The greatest loss was found to occur in the automatic packaging process. The drug loss rates for carvedilol itself were 56.4±8.1, 50.2±10.2, and 36.9±7.5% for the 1.25, 2.5, and 5 mg packages, respectively. The loss of carvedilol was greater for the 1.25 and 2.5 mg packages than the 5 mg package (p<0.05).These results suggest that the grinding of a 10 mg tablet gives rise to inaccurate dosing. Thus, low dose tablets available on the market should be used preferentially when low dosages of carvedilol are prescribed to patients with chronic heart failure.
著者
金子 諒 藤澤 真平 佐々木 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.411-416, 2009 (Released:2009-07-24)
参考文献数
25
被引用文献数
10 2

〔目的〕本研究では,足趾把持筋力トレーニングが最大速度歩行の床反力に及ぼす影響を検討することを目的とした。〔対象〕健常な学生27名とした。〔方法〕対象者を男女別に無作為にトレーニング群,対照群に振り分けた。足趾把持筋力,10 m最大速度歩行時の速度,歩数,歩行率,歩幅,最大速度歩行時の床反力を介入期間の前と後に測定した。トレーニング群には4週間の足趾把持筋力トレーニングを行わせ,対照群には普段通りの生活をさせた。〔結果〕トレーニング群は有意に足趾把持筋力が増強し,10 m最大歩行速度が速くなった。また,床反力横方向第3波,歩行率において増加傾向がみられた。〔結語〕蹴り出しにおける脚の運びの方向性が適正化することで,歩行率が改善し,最大歩行速度が向上する可能性が示唆された。また,最大歩行速度向上に対して床反力垂直方向の最大波に増加がみられなかったことから,足趾による制動力が高まったことでソフトに踵接地でき,踵接地による衝撃が減少したことが示唆された。
著者
佐々木 誠人 永芳 郁文 吉武 明人 本山 達男 川嶌 眞人
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.914-916, 1999-09-25
参考文献数
4
被引用文献数
1

We studied the pathological diagnosis of the synovium of the subacromial bursa of 30 patients with shoulder impingement syndrome without rotator cuff tear. The diagnosis consisted of three types, i. e. chronic synovitis (73.3%), degeneration (16.7%) and fibrosis (20%). The results of a group with friction finding observed arthroscopically at the undersurface of the coracoacromial arch were more or less the same as one of another group without the finding. In deciding the surgical indication to the shoulder impingement syndrome of intact rotator cuff tear, clinical findings are very important.
著者
時安 樹子 木藤 伸宏 奥村 晃司 吉用 聖加 佐々木 誠人 川嶌 眞人
出版者
九州理学療法士・作業療法士合同学会
雑誌
九州理学療法士・作業療法士合同学会誌 (ISSN:09152032)
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.83, 2004

【はじめに】<BR> 拘縮肩の理学療法の目的は、疼痛軽減と関節可動域(以下、ROM)改善が主である。症状の改善が得られない場合、関節鏡を併用した授動術が行われる。臨床的には、それによって改善傾向に進む症例と、改善が得られず、再度拘縮肩へと移行するケースがある。後者の場合、理学療法として単にROM訓練、筋機能訓練に主眼を置くアプローチのみでは限界を感じている。<br> 今回、ROM制限、疼痛が強く、上肢運動機能改善に難渋した拘縮肩を有する症例を経験し、肩甲帯・体幹の動き、重心の位置に着目し理学療法を行い職場復帰まで至ったので報告する。<br>【症例紹介】<BR> 年齢:47歳 性別:男性 職業:消防士<br> 診断名:右肩関節拘縮<br> 現病歴:平成15年10月下旬、階段から転倒しそうになり右手で手すりをつかんだ際に疼痛出現。近医受診し注射治療にて様子を見ながら仕事を続けていた。その後、徐々に夜間痛、運動時痛増強し、12月に当院受診。12月18日右肩関節鏡視下授動術施行となった。<br> 手術所見:前方関節包付近に瘢痕様組織あり。前・後・下方関節包を鏡視下に切離し完全屈曲、外旋60獲得。<br>【術前理学療法評価】<BR> 安静時痛visual analogue scale(以下、VAS)0/10、夜間痛VAS 10/10、運動時痛VAS 10/10、疼痛部位は肩関節前方にあり、肩峰下・結節間溝部に圧痛が認められた。ROMテストでは右肩関節屈曲115、外転80、外旋10、内旋60であり、外転時肩甲帯挙上・体幹左側屈、外旋時肩甲骨内転・体幹右回旋による代償が強く認められた。徒手筋力テストは疼痛のため測定困難であった。筋の状態は右頚部筋の緊張亢進、右棘下筋の萎縮が認められた。姿勢評価として右肩峰、肩甲骨下角の高さが左側と比較して低く、胸椎に軽度左凸の側弯が認められた。<br>【術後理学療法所見】<BR> 術翌日より理学療法開始し、術後2週間三角巾固定。訓練時のみ三角巾除去。術後、疼痛・脱力感の訴え強く、立位にて右上肢下垂困難、振り子運動、肘・手関節のROM訓練も困難な状態であった。アライメントは胸椎後彎・右側肩甲骨外転・肩関節内転、内旋・肘関節屈曲・右肩甲帯挙上位であった。それによって右肩関節から頚部周囲筋の筋緊張亢進し、右頚部・右肩甲骨内側に疼痛があった。また、胸椎後弯により肩甲骨外転位となり関節窩と骨頭の位置関係が崩れていた。また動作時、左側へ重心移動を行う傾向があった。今後その状態にて挙上を行うと疼痛・可動域制限が生じると考え、挙上しやすい環境を作ることが重要と判断した。<br>【理学療法アプローチ】<BR> (1)頚部筋のリラクゼーションを目的として、スリングセラピー施行。(2)下部体幹安定性の獲得を目的としてエアスタビライザーを用いて坐位保持訓練、左右への重心移動を行い、胸椎伸展に伴う肩甲骨の内転運動を促した。(3)身体全体の正中化を図る目的として右下肢での片脚起立訓練、ストレッチポールを用いた立位保持を行った。(4)関節包内運動、ROM制限となる筋・靭帯に対するストレッチを行い、ROMの改善を図った。<br>【経過】<BR> 術後1ヶ月にて退院となり、下肢荷重検査を施行した。その結果、左下肢での荷重が多く、上半身重心の左側方偏位より左下肢への荷重量が増加していた。<br> 術後2ヶ月頃より疼痛軽減が認められ、下部体幹の安定化、坐位・立位でのアライメントの改善、身体正中化が得られた。<br> 術後3ヶ月での評価においては、安静時痛VAS 0/10、夜間痛VAS 2/10、運動時痛VAS 5/10であった。ROM制限は依然として認められるが、右肩関節屈曲120、外転100、外旋20、内旋50と改善した。また、術前と比較して体幹・肩甲骨での代償運動は軽減した。姿勢では、両肩峰・肩甲骨下角の高さも改善し、下肢荷重検査においても左右差の改善が認められた。疼痛の軽減に伴い右肩関節を動かすことへの恐怖感も軽減し、右上肢での日常生活動作が可能となり、職場復帰可能となった。<br>【まとめ】<BR> 本症例は術前より疼痛強くROM制限が著明であるため、肩関節そのものに対するアプローチよりも、肩関節の運動機能を発揮できる環境作りのために、全身的なアプローチを行った。依然としてROM制限、筋機能低下は残存しているものの、本症例に行ったアプローチは疼痛を伴う症例に行うことは有用であると思われ、具体的詳細、考察を加え報告する。
著者
三好 扶 佐藤 秀太 佐々木 誠 明石 卓也 小笠原 正勝 津田 保之
出版者
一般社団法人 日本食品工学会
雑誌
日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.173-184, 2018-09-15 (Released:2018-09-27)
参考文献数
6

食品加工業は労働集約型産業であり,原材料処理工程に近いほどその作業工程は人手に頼らざるを得ないのが現状である.しかしながら人手不足,後継者不足が顕在化している昨今では,ロボットシステムによる人手不足解消が喫緊の課題となっており,作業工程をロボット化することで省人化・省力化を図る意義は高い.本研究では缶詰製造工程の定量充填作業を具体の事例とし,作業者によって実施される「定量となる適正な組み合わせ判別」を機械学習によって判別アルゴリズムとして構築し,このアルゴリズムを実装した定量充填作業用ロボットシステムの試作機の開発を目的とする.適正な組み合わせ判別アルゴリズムは焼成切身の3次元特徴量(平均高さ,水平投影面積,およびこれらの積として得られる体積)を教師データとし,その正答率は約95%を得た.このアルゴリズムを実装したロボットシステムは,1缶分(焼成切身腹部および尾部1対を充填)を30秒程度で把持・搬送・充填を可能としたが,現時点では75%の作業精度(達成率)となった.作業者が1缶あたり5秒程度で充填することから,動作速度向上ならびに作業精度の向上といった課題を残すが,作業者による定量充填作業の作業代替となるロボットシステム化が可能であることが示唆された.
著者
佐々木 誠
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.29, no.5, pp.160-163, 2002-08-20 (Released:2018-09-25)
参考文献数
8
被引用文献数
3

従来の立位重心動揺測定は膝関節伸展位で行われており,膝関節屈伸運動を伴う立位での動作や移動を直接には反映していない。そこで,膝関節屈伸運動時の足圧の作用中心点(以下,COP)を特定するために,若年健常者27名を対象に,スクワット動作時のCOPのフォースプレートによる測定再現性と特性について検討した。級内相関係数(ICC1,1)は,総軌跡長(LNG)とY(前後)方向最大振幅(YD)で0.6を上回り,X(左右)方向最大振幅(XD),矩形面積(REC AREA),X(左右)方向動揺平均中心変位(DEV OF MX)で0.6を下回った。従来の重心動揺測定のパラメータとの関連を検討した結果,静止立位条件と相関のあるパラメータがあったが,関連性は必ずしも強くはなかった。また,スクワット動作時のLNGとCross TestのREC AREAとの間に示された関連は弱かった。以上より,健常者におけるスクワット動作時のCOPは,LNGと前後成分で再現性が示される一方で,左右成分およびREC AREAで冗長性が示され,静止立位での側方不安定性に起因する動揺性を反映するが,その関連性は必ずしも強くはなかった。従来の測定でのパラメータとの間に相関を認めなかったパラメータが多かったことからも,本COP測定によって新たな情報が提供される可能性が示唆された。
著者
千葉 直美 半澤 宏美 佐々木 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.43-48, 2004 (Released:2004-04-08)
参考文献数
13

異なる肩関節屈曲角度での上肢クローズドキネティックチェイン(CKC)運動時筋力を測定し,運動方向による差異を比較するとともに,基本動作との関連を検討した。対象は若年健常女性14名(19.1±1.2歳)である。方法として,まず肩関節屈曲0°,30°,60°,90°方向への上肢CKCでの伸展運動時等速性筋力を,60,180,300 deg/secの運動速度で測定した。また,車椅子10 m駆動時間,30秒間に反復可能なプッシュアップ回数,T字杖免荷率の3項目を測定した。各肩関節屈曲角度における上肢CKC運動時のPeak Torque/Body Weightは,全ての運動速度において差異を認めなかった。筋力と基本動作との関係について,Peak Torque/Body Weightは,プッシュアップ回数との間に相関が示されなかったが,300 deg/secではいずれの運動方向においても車椅子10 m駆動時間との間に負の相関関係,60 deg/secにおける全ての運動方向でT字杖免荷率との間に関連があることが示唆された。また,T字杖免荷率と低角速度での肩関節屈曲30°方向におけるPeak Torque/Body Weightとの間の相関関係は統計学的に有意であった。以上より,異なる肩関節屈曲角度における上肢CKC運動時筋力は,運動方向によって関与する筋の種類や活動動員比率が異なると推察されるものの,運動方向特異性は示されなかった。また,車椅子10 m駆動時間は,CKC運動時筋力の角速度特異性が反映される一方で,運動方向の相違には影響されず,T字杖免荷率は,筋力の角速度特異性ならびに運動方向特異性に影響されることが示唆された。