著者
竹谷 尚人
出版者
千葉大学教育学部授業実践開発研究室
雑誌
授業実践開発研究 = Study on Development of Teaching (ISSN:18848818)
巻号頁・発行日
no.11, pp.59-68, 2018-03-20

[要旨] 運動エネルギーと運動量は別の物理量である。しかし、この2つの物理量はしばしば混同されてしまう。現行の学習要領・検定教科書は、力学の扱いが十分とはいえず、運動エネルギーと運動量を教えるための授業開発を進めることは重要だと考える。そこで筆者は、1960年代に登場した「ニュートンのゆりかご」を再活用し、生徒に運動エネルギー・運動量を理解させることを試みた。「ニュートンのゆりかご」には、複数の金属球がぶら下げられている。端の金属球を持ち上げ、残りの球へ衝突させるという実験を条件を変えて行い、その結果を生徒に予想・検討させることで、最終的に運動エネルギーと運動量とを理解させることを目指した。実験授業の結果から、生徒はエネルギーの保存についてはおおむね理解しており、それを根拠として結果を予想し討論しているという様子が見られた。しかし、運動量を考慮せず実験結果を予想している場面も見られ、両方の完全な概念分化へは課題も挙がった。