著者
笠井 亨浩 引田 久美子
出版者
山口県獣医師会
雑誌
山口獣医学雑誌 = The Yamaguchi journal of veterinary medicine : the official journal of the Yamaguchi Veterinary Medicinal Association (ISSN:03889335)
巻号頁・発行日
no.46, pp.39-42, 2019-12

牛の創傷治療において砂糖を使用し,良好な結果が得られた。治療牛は雌のホルスタイン種で,入牧時(18日齢)に腰部にカラスの咬傷とみられる15cm×10cmの化膿創を確認した。洗浄後,砂糖を創面に充填し,紙おむつで保護して伸縮性包帯で固定する方法で3~4日毎に治療を実施した。その結果,6日目には創面が縮小し,以降ワセリンの塗布に切り替えた。平成27年に抗菌薬を用いて臀部の化膿創を治療した例と比較しても,治療初期における肉芽組織の立ち上がりが早く,創傷の治療に砂糖が有効であることが示唆された。本症例の他にも化膿した除角痕に同様の治療を実施して良好な結果を得た。今後,固定方法や砂糖の使用が好適な傷の状態の見極めなどの検討を要するが,生産現場において,抗菌薬に代わり安価かつ簡便な創傷治療法として,砂糖が有効であることが示唆された。以上の成績から豚増殖性腸炎と診断した。本農場では,農場の衛生状態の悪化や子豚の免疫機能の低下が発症要因となったと考察された。