著者
田中 寿人 笠原 貴紀 秋山 菜奈絵
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.60, no.3, pp.424-428, 2011-09-25 (Released:2011-12-09)
参考文献数
3

【目的】一般診療上にて椎間板ヘルニアは,交通外傷などの関連性を問われる機会が増えてきた.頚部椎間板ヘルニアの画像所見のうち,外傷性ヘルニアである事を示唆する所見が捕らえることが出来ないか検討した.【方法】平成20年度に当院において頚部椎間板ヘルニア疑いでMRI検査した症例を明らかな外傷歴のある外傷群(19例)と外傷歴のない非外傷群(16例)にわけてそれぞれの画像を比較した.【結果】外傷群では椎間板ヘルニアがT2で高輝度を示し,椎間板内部とヘルニアが連続して高輝度を示すものもあった.外力の程度によっては喉頭下軟部組織の腫脹を認めた.さらに屈曲損傷型は棘間靱帯部に出血を認めた.以上の所見は外傷の関与を強く疑わせる所見と考えられた.ただ,若年層は非外傷群でもT2*で高輝度を示す事があり,喉頭下軟部組織の腫脹は頚長筋炎の症例と紛らわしい事があるため注意が必要であった.