- 著者
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笠島 里美
Kasashima Satomi
- 出版者
- Wellness and Health Care Society
- 雑誌
- Journal of wellness and health care = Journal of wellness and health care (ISSN:24333190)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.2, pp.1-7, 2018-01-31
IgG4 関連疾患(IgG4-relared disease; IgG4-RD)は,血清の IgG4 高値,組織での多数の IgG4陽性の形質細胞浸潤と線維増生を特徴とする疾患群である . 発見から 10 年以上経過し,全身ほぼ全ての臓器に発生しうる事や免疫異常が病因に関わる事等など,病態の理解も進んできた. 腹部大動脈瘤の一亜型に,動脈壁肥厚や炎症細胞浸潤が特徴的な炎症性腹部大動脈瘤 がある.IgG4-RD が多中心性の繊維増殖性疾患の視点から, 我々は炎症性腹部大動脈瘤の約半数が IgG4-RD である事を解明し,臨床病理像をまとめてきた . その後,心血管領域での IgG4-RD の探索を進め,大血管のみならず中型血管,冠動脈,大腿動脈等の末梢血管にまで発生することや,その多くが炎症性動脈瘤或いは動脈周囲炎を呈することも解明し,現在では1gG4 関連血管病変の概念が確立してきた . 本稿では,頻度が高く,prototype となる IgG4 関連炎症性腹部大動脈瘤から説明し, 胸部大動脈,中型動脈,心病変などについても,疾患概念,診断,臨床像,病理像,治療等の概略を示す.