著者
笹岡 久美子 藤巻 裕蔵
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.25-32, 1990

1) 1987&bull;88年に人工飼料によりエゾライチョウ幼鳥を飼育し,摂食量,成長,生存率を調べた.<br>2) 飼料の成分組成は幼鳥の成長に伴って変化し,粗蛋白9.5-21.0%,粗脂肪2.1-17.2%,粗繊維1.5-4.8%で,総エネルギーは2,034-3,881kcal/kgであった.<br>3) 摂食量は乾重で2日齢の1.5g/日/羽から46日齢の24.8g/日/羽まで増加し,50日齢以降は平均22.1g/日/羽であった.<br>4) ふ化直後の体重は11.4gで,98日齢で300g近くなった.大きさは40日齢ころまでにほぼ成鳥と同じくらいになった.<br>5) 日齢(X)と体重に対する摂食乾重量(Y)との間にはY=-0.0941+15.34の関係が見られた.<br>6) 生存率は35日齢で90%,112日齢で65%で,42日齢以降の主な死亡要因はアスペルギルス症と腹膜炎であった.<br>7) 摂食量にもとづいて,エゾライチョウ幼鳥用の飼料給与表を作成した.