著者
笹川 真奈 椎尾 一郎
雑誌
研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:21888698)
巻号頁・発行日
vol.2015-UBI-47, no.8, pp.1-7, 2015-07-20

日本の都市部では,多くの人々が長時間の電車通勤・通学を強いられている.その通勤時間に,電車の中で座って休めるか否かは重要問題である.本研究では,電車内で乗り合わせた乗客が降りる駅を,過去の事例から推定・提示することで,席に座れるチャンスを利用者に提供するスマートフォンアプリケーション SUWANT!a を提案・実装した.本アプリケーションは,スマートフォンや各種デバイスが発信する Bluetooth 信号を利用して,電車内の乗客を特定する.そして Bluetooth 機器所有者が過去に乗降した駅のデータから,特定した乗客の降車駅を推定する.もしユーザの周辺にすぐに降りそうな乗客がいれば,本アプリケーションはその乗客の存在と推定距離と推定降車駅を表示する.ユーザは座っている乗客の周辺を歩き回り,変化する推定距離を見ることによって,もうすぐ降りそうな乗客を探し当てることができる.また,本アプリケーション使用中にも Bluetooth 信号を記録し,周辺の Bluetooth 機器所有者の乗降駅をデータベースに登録するためのデータを,サーバに送信する.本アプリケーションのユーザは,アプリケーションを使えば電車で座れる可能性が上がるという動機で,Bluetooth 信号の情報を収集するクラウドソーシングに参加することになる.評価実験では,特定の電車区画において,10 乗車中 2 回本システムを使って座ることができた.