著者
笹本 重子 阿部 絢子
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.24, pp.1-10, 2008-03-01 (Released:2010-06-22)
参考文献数
21

太極拳が高齢者の健康運動として有用であるかについて, 免疫機能の指標として唾液中の分泌型免疫グロブリンA (SIgA), ストレスの指標としてアミラーゼ活性, 主観的気分の変化を気分プロフィール検査 (POMS) の測定により評価した。対象は週に1回太極拳の稽古を行っている男性3名, 女性19名であり, 測定は2005年11月と2007年8月に行った。アミラーゼ活性は太極拳稽古の前後で有意な差は見られなかった。POMSは「活気」項目において稽古後に有意に高い値を示した。安静時唾液分泌速度は2005年に比べ2007年に有意に低い値を示し, 安静時SIgA濃度は2007年に有意に高い値を示した。安静時SIgA分泌速度は2005年に比べ2007年の方が高い傾向を示したが, 有意ではなかった。これらのことから太極拳は, 高齢者の健康運動として有用であると考えられる。