著者
中村 なおみ 勢畑 多恵子 布施 典子
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.69-79, 2014 (Released:2014-06-11)
参考文献数
8
被引用文献数
1

平成20年度に全国すべての小中学校を対象に「全国体力・運動能力,運動習慣調査」が行われた。その結果,昭和60年の結果と比較し,かなりの体力低下が明らかとなった。特に女子は,1週間に体育の授業以外で30分以下しか運動をしていないものが,小学5年生で8万人,中学2年生で12万人という結果で,男子よりも運動への参加率がかなり低く,これは運動部への所属が少ないことによると分析されている。以後,5年間の調査でもこの傾向は変わらない。一方で,東京都女子体育連盟主催の体育実技研究発表会(以下ダンス発表会)への参加者数が平成8年からの15年間で5倍以上になっていることから,高等学校のダンス部員は増加していると推察できた。しかし,その実態に焦点を当てた調査や研究は充分に行われていない状況にある。そこで本研究では,ダンス部に関する基礎データを収集・分析し,部員数が増加傾向にあることを実証するとともに,活動の実態を明らかにするため,ダンス発表会に参加する生徒と顧問教員を対象にアンケート調査を行った。その結果,ダンス部員はかなりの増加傾向であることがわかった。また,増加という実態が先行しているが,教育機関としての学校の受け入れ態勢,つまり,指導体制や多数の部員に見合う施設面に課題があることが示された。
著者
高橋 和子
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-20, 2011 (Released:2012-03-23)
参考文献数
47

本研究は,世界最高齢の舞踏家大野一雄が38年間勤務した捜真女学校における「ダンス授業」や「クリスマス行事での聖劇」に着目し,どのようなダンス教育をしたのかを舞踏活動との関連も含めて探ることを目的とする。研究方法として,文献,大野一雄アーカイブ資料,および女学校関係者への半構造化面接法などにより得られた資料を,(1)経歴(教育・舞踊関連年表)の作成,(2)体育教科におけるダンス指導とマスゲーム『美と力』振付の点検評価,(3)聖劇とサンタクロース扮装の点検評価,などの観点から分類整理し,考察を行った。その結果,大野は半世紀以上にわたり捜真女学校に関わり,ダンスや聖劇を通して「形を教え込む」のではなく,「真剣な言葉かけ」によって自己の内面に対峙させ,「自由な表現を引き出した」ことが明らかになった。教育者であり舞踊家であった大野は,謙虚さと奉仕と愛情に満ち溢れた信仰心で子どもや生徒に接し,一連の教育法は世界的に活躍する舞踏家となっても変わることなく,人間の可能性を引き出し生と死のテーマを表現してきたといえる。大野の生き方は創作ダンスや教育の原点にも通じ,ダンス指導法への示唆を得ることができた。
著者
髙橋 和子 山本 光
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.1-16, 2016 (Released:2016-05-31)
参考文献数
42
被引用文献数
2

レジリエンスは,困難な出来事を経験しても個人を健康へと導く心身の特性である。本研究は,大学生360名と教員200名にダンスを実施し,ダンスがレジリエンスを高める効果があるかを検討することを目的とした。心身の健康の指標は,レジリエンス尺度(精神的健康尺度・精神的回復力尺度)を用い,その解析を行うと共に,質的研究として,ダンス教材「新聞紙」の即興的な表現における自由記述分析を行った。その結果,次のことが明らかになった。①ダンス実習を通して「運動好き」「ダンス好き」「精神的健康」「精神的回復力」が肯定的に変容した。②「精神的健康尺度」は [憂鬱][集中力欠如][怒り][身体的症状]の4因子構造であり,「精神的回復力尺度」は[挑戦的][情緒不安定][感情コントロール]の3因子構造であり,各因子間に相関があった。③「精神的健康尺度」と「精神的回復力尺度」の各々の因子間においても,6つの因子間に相関が認められた。④大学生がダンス教材「新聞紙」で獲得した概念は,レジリエンスを高める要素と類似していた。以上のことから,レジリエンスを高めるダンスの効果が明らかになった。
著者
花輪 千秋 高橋 芳子 高橋 和子
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.22, pp.17-28, 2005

本研究は山形大学附属小学校中学年39名を対象に, 魂をゆさぶる「表現」の学習を成立させるための2年間の試みである。<BR>魂をゆさぶるためには, 価値とエネルギーを持つ教材が必要であり, 筆者らは国語で取り扱う名作の物語にそれを求めた。3年生時は『つり橋わたれ』, 4年生時は『花さき山』(共に8時間扱い) を素材として「表現」の指導を行った。国語では心情の読み取りを平行して行った。<BR>その成果として (1) 表現課題の設定により, 児童たちは主人公に自分の心情を重ねて表現することができた。(2) 感性に働きかける「音・ことば・物」でイメージを豊かにしたことによって「表現」が多様になり, 深くなった。(3) 物語の主人公を媒体に指導者と児童, 児童と児童が互いの心情に触れ, 魂をゆさぶる表現を生み出すことができた。
著者
飯田 路佳 江藤 幹 大須賀 洋祐 辻本 健彦 清野 諭 大久保 善郎 大山卞 圭悟 田中 喜代次
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.19-27, 2017 (Released:2017-05-18)
参考文献数
29

本研究の目的は,体力測定や生理・生化学的指標から得られる 「活力年齢」 に着目し,中高年女性におけるリズム系運動がどのような健康増進効果をもたらすかについて,①BMIが25kg/m2以上の対象者(以下肥満群),②BMIが25kg/m2未満で明らかな疾患がない対象者(以下一般群),③リズム系運動習慣者(以下ダンサー群)の3群間において,活力年齢およびその構成要素を比較することにより,リズム系運動習慣者の健康体力水準の違いを明らかにすることとした。活力年齡は包括的健康度の指標として,健康と体力に関連する多項目(全身持久性体力,敏捷性,バランス,血圧,血中脂質,腹囲,肺機能など)から推定される。対象は,肥満群(平均年齢62.0±3.9歳)24名,一般群(平均年齢62.4±4.8歳)28名,およびダンサー群(平均年齢63.8±5.3歳)21名であった。ダンサー群の活力年齢(54.5±7.4歳)は,肥満群(67.6±4.6歳)および一般群(62.6±8.1歳)よりも有意に良好な値を示した(P<0.05)。このことから,長年にわたり日常的に,ダンスに代表されるリズム系運動を中心とした身体活動を継続していくことの有益性が認められた。
著者
村田 芳子 松本 昌代
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.21, pp.21-44, 2004-11-01 (Released:2010-06-22)
参考文献数
31

本研究は幼児から高齢者までの幅広い年齢層を対象としたリズムダンス・現代的なリズムのダンスの縦断的な実践を通して, リズムダンス・現代的なリズムのダンスの特性を捉えなおすとともに, 今後の指導に役立つ資料を提示することを目的に行われた。(1) リズムダンス・現代的なリズムのダンスの指導計画案作成と実施 (幼稚園から社会体育まで),(2) 学習後における学習者の変容の把握,(3) リズムダンス・現代的なリズムのダンスの学習に関する縦断的な指導資料の提示である。その結果, リズムダンス・現代的なリズムダンスの特性は, 「リズムにのって踊る楽しさと」と「リズムを共有して他者と交流して踊る楽しさ」に集約され, リズムダンス・現代的なリズムのダンスの学習は, ダンスの始原的な快感情を保障しながら, 生涯にわたってダンスを愛し, 新しいダンスを創出できる力を育んでいく, という方向性が示唆された。
著者
田島 正浩 細川 江利子
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.55-73, 2017

<p>本研究では,教員養成系G大学におけるダンス実技授業において,履修学生を対象としてサンバの授業を2回(「はじめの段階」 と 「やや進んだ段階」) 実践し,質問紙調査により授業後の学生の意識や学習達成感の変容を考察することによって,立案したサンバの授業の有効性について検証することを目的とした。<br/>実施した2回の授業は,各回とも,指導者によるサンバの授業実践,指導案を参照しながら指導内容の振り返り,指導実習(学生が教師役となった展開部の模擬指導など)の3つの内容で構成した。また,各回のサンバの授業の内容と指導については,①基本である 「リズムに乗って友達と関わりながら自由に踊る力」 を身につけることを主軸とし,②サンバのリズムの特徴を感じ取れるような言葉がけや指導法を工夫し,③教師リードと学習者リードという双方向の活動を重層的に組み込んで授業を構成し,途切れのないスムーズな学習の流れを重視して授業を展開するよう工夫した。<br/>その結果,授業後の質問紙調査の結果は以下の通りであった。 ①「サンバのリズムで自由に踊ることができそうだと思うか・難しいと思うか」 という質問に,授業前はほぼ半数の学生が 「難しい」,3割強の学生が 「どちらともいえない」 と回答したのに対し,第2回授業後は9割強の学生が 「踊ることができる」 と回答し有意に肯定的な変化が認められた。また,②「サンバのリズムで踊る楽しさ」,③「サンバのリズムの特徴の理解」,④「サンバの授業の組み立て方や展開方法の理解」 については,第1回授業後と第2回授業後では有意な傾向(②)ないし有意に(③④)肯定的な変化が認められ,第2回授業後には全員が「楽しかった」「理解できた」 と回答した。<br/>以上より,本研究で実践した教員養成系大学の学生を対象とした授業構成,サンバの授業内容と展開,サンバのリズムの指導法については,対象とした学生たちのサンバのリズムダンスの学習において有効であったと推察された。</p>
著者
田島 正浩 細川 江利子
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.55-73, 2017 (Released:2017-05-18)
参考文献数
8

本研究では,教員養成系G大学におけるダンス実技授業において,履修学生を対象としてサンバの授業を2回(「はじめの段階」 と 「やや進んだ段階」) 実践し,質問紙調査により授業後の学生の意識や学習達成感の変容を考察することによって,立案したサンバの授業の有効性について検証することを目的とした。実施した2回の授業は,各回とも,指導者によるサンバの授業実践,指導案を参照しながら指導内容の振り返り,指導実習(学生が教師役となった展開部の模擬指導など)の3つの内容で構成した。また,各回のサンバの授業の内容と指導については,①基本である 「リズムに乗って友達と関わりながら自由に踊る力」 を身につけることを主軸とし,②サンバのリズムの特徴を感じ取れるような言葉がけや指導法を工夫し,③教師リードと学習者リードという双方向の活動を重層的に組み込んで授業を構成し,途切れのないスムーズな学習の流れを重視して授業を展開するよう工夫した。その結果,授業後の質問紙調査の結果は以下の通りであった。 ①「サンバのリズムで自由に踊ることができそうだと思うか・難しいと思うか」 という質問に,授業前はほぼ半数の学生が 「難しい」,3割強の学生が 「どちらともいえない」 と回答したのに対し,第2回授業後は9割強の学生が 「踊ることができる」 と回答し有意に肯定的な変化が認められた。また,②「サンバのリズムで踊る楽しさ」,③「サンバのリズムの特徴の理解」,④「サンバの授業の組み立て方や展開方法の理解」 については,第1回授業後と第2回授業後では有意な傾向(②)ないし有意に(③④)肯定的な変化が認められ,第2回授業後には全員が「楽しかった」「理解できた」 と回答した。以上より,本研究で実践した教員養成系大学の学生を対象とした授業構成,サンバの授業内容と展開,サンバのリズムの指導法については,対象とした学生たちのサンバのリズムダンスの学習において有効であったと推察された。
著者
伊藤 美智子 白井 麻子
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.19-33, 2015

本研究は,体育系大学生265名に知的障害者(ダウン症者6名,自閉症者1名,知的障害を伴う肢体不自由者1名)とその母親,弟妹をメンバーとするダンスグループの公演を客席で鑑賞させて,どのようなことを享受したのかを3種類のアンケートを実施して明らかにした。その結果,下記のような事が明らかになった。①作品の特徴を的確に捉えていた。②律動性に溢れた公演であったという印象を強くもっていた。女子の方が高い評価をする傾向があった。③自由記述による感想は,『感情』 『ダンス・作品』 『経験』 の3つの上位カテゴリーにまとめられ,その下位カテゴリーとして 『感情』 〈楽しい〉〈ヒーリング〉〈陶酔感〉,『ダンス・作品』〈表現性〉〈一体感〉,『経験』〈新奇性〉〈勉強になった〉〈今後に活かす〉にまとめられた。対象者が享受したものは,①ダンスそのものの学習,②ダンスを通じた特別な教育的支援を必要とする生徒への支援者・指導者としての学習,③社会における障害者の活動に関する理解についての学習に大別できた。また,ダンス教育における鑑賞学習の教育的意義について示唆を得ることができた。
著者
笹本 重子 阿部 絢子
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.24, pp.1-10, 2008-03-01 (Released:2010-06-22)
参考文献数
21

太極拳が高齢者の健康運動として有用であるかについて, 免疫機能の指標として唾液中の分泌型免疫グロブリンA (SIgA), ストレスの指標としてアミラーゼ活性, 主観的気分の変化を気分プロフィール検査 (POMS) の測定により評価した。対象は週に1回太極拳の稽古を行っている男性3名, 女性19名であり, 測定は2005年11月と2007年8月に行った。アミラーゼ活性は太極拳稽古の前後で有意な差は見られなかった。POMSは「活気」項目において稽古後に有意に高い値を示した。安静時唾液分泌速度は2005年に比べ2007年に有意に低い値を示し, 安静時SIgA濃度は2007年に有意に高い値を示した。安静時SIgA分泌速度は2005年に比べ2007年の方が高い傾向を示したが, 有意ではなかった。これらのことから太極拳は, 高齢者の健康運動として有用であると考えられる。
著者
柳瀬 慶子
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.25, pp.25-37, 2009-03-31 (Released:2010-06-22)
参考文献数
20

本研究では, 西村の現象論を用いて, 表現運動の授業において子どもたちが「踊っているということ」はどのように捉えられるのか, また「踊っているということ」に見られる「他者関係」を見極めることによって, 表現運動の授業づくりの視座を提出することを目的とした。その結果, 「踊っているということ」は, 1つの関係であり, 「他者関係」の応答を生起させることによって成り立つということが明らかになった。そこに参加する子どもは, 「踊らされる存在」になったり, 「踊る存在」になったりしながら, 他者と相互主体の関係にあると考えられた。また, その「他者関係」の変容過程では, 「融合関係」「応答関係」「共感関係」が見られた。このような関係性をどう生起させるかということが, 今後の表現運動の授業づくりにおける視座になると考えられた。
著者
細谷 洋子
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.1-16, 2014 (Released:2014-06-11)
参考文献数
27

アフロ・ブラジル文化カポエイラは,アフリカ系奴隷によってブラジルで創造され,近年ブラジル社会,歴史,文化の象徴としてブラジル国家によって認められた民族スポーツである。本稿はこのようなカポエイラの,幼児を対象にした教授内容を明らかにし,授業構成の観点とその鍵となる概念を考察することを目的とした。その結果,授業パターンにおいて,幼児の心身の発育発達段階を考慮して,多様な動きの体験が優先された。そしてカポエイラの独特の世界観が重視されない「ジョゴ」(カポエイラのゲームを意味する。以下「ジョゴ」と略す)が行われていると考察された。授業構成の観点として「行為の意味を重視する」ことが重要であることが明らかになった。つまり,技の完成度よりもジョゴを行う二人の間で技が行われることで生じる「問いかけと返答」という意味を重視する傾向が考察された。更には,「問いかけと返答」の意味生成において,即興性が基軸となる「ジョゴ」概念が授業構成の観点として重要であり,この「ジョゴ」概念はカポエイラ特有の文化的特性であるという知見が得られた。
著者
細谷 洋子
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.1-16, 2014

アフロ・ブラジル文化カポエイラは,アフリカ系奴隷によってブラジルで創造され,近年ブラジル社会,歴史,文化の象徴としてブラジル国家によって認められた民族スポーツである。本稿はこのようなカポエイラの,幼児を対象にした教授内容を明らかにし,授業構成の観点とその鍵となる概念を考察することを目的とした。<br>その結果,授業パターンにおいて,幼児の心身の発育発達段階を考慮して,多様な動きの体験が優先された。そしてカポエイラの独特の世界観が重視されない「ジョゴ」(カポエイラのゲームを意味する。以下「ジョゴ」と略す)が行われていると考察された。<br>授業構成の観点として「行為の意味を重視する」ことが重要であることが明らかになった。つまり,技の完成度よりもジョゴを行う二人の間で技が行われることで生じる「問いかけと返答」という意味を重視する傾向が考察された。<br>更には,「問いかけと返答」の意味生成において,即興性が基軸となる「ジョゴ」概念が授業構成の観点として重要であり,この「ジョゴ」概念はカポエイラ特有の文化的特性であるという知見が得られた。
著者
遠藤 保子
出版者
公益社団法人 日本女子体育連盟
雑誌
日本女子体育連盟学術研究 (ISSN:18820980)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.1-15, 2013

本研究は,アフリカの舞踊を対象として,小学校高学年に対するグローバル教育を視野にいれた実践研究の結果を踏まえて,その内容と方法を明らかにするとともに,アフリカの舞踊をグローバル教育の教材にするための基礎資料を得ることを目的とした。実践は,2009年10月31日,立命館大学において以下を行った。1.アフリカの社会と舞踊に関する解説,2.モーションキャプチャを利用したアフリカの舞踊のデジタル記録の説明と実演,3.映像教材の紹介,4.昼食(ガーナの料理付),5.ガーナ人舞踊家による舞踊と音楽,6.舞踊と音楽のワークショップ。実践に際しては,(1)アフリカに興味を持つ段階,(2)アフリカと日本の関係を知る段階,(3)自分たちが実践し,考える段階を設定した。実践の後,児童への質問紙調査,教員への聞き取り調査を行った。その結果,質問紙調査では,児童が,アフリカの舞踊や食文化を体験してアフリカの文化を考える契機になり,日本の文化と相対比較が可能になり,聞き取り調査では,教員にとって,実践はおもしろく,分かりやすいものであることが明らかになった。以上のことから,アフリカの舞踊は,グローバル教育の教材として有効であると思われる。