著者
笹渕 龍介
出版者
福岡県教育庁南筑後教育事務所
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

学級活動や総合的な学習の時間と関連させた連続的な道徳学習活動をつくり、人の内面的資質や外面的行為を問い直す活動を創造する。そして、社会的視点の発達を促し、自他の違いを意識したり、他者の感情や思考の心の内面を推測したり、自分の役割行動を決定したりできるようにする。道徳的価値の自覚(A型)と子どもの主体的な価値表現や価値判断の受容(B型)を組み合わせ、社会的視点の発達をうながす学習過程を仕組む。そして、よりよく生きようとする姿として共感的な態度・合理的な判断・自己効力が獲得されるのではないかと考え、道徳的価値を構成する内容項目の広がりの分析を行う。実践例としては、[Table]第一次の学級活動で学びについての考えを出し合い、学ぶ意義を学級の共通の課題として取り出す。そして、B型の道徳を仕組み、学びについて子どもそれぞれが持つ考えにについて班で話し合い、学ぶ意義の価値を広げる。第二次では、A型の道徳を行ない、学ぶ意義の価値を自覚させ、道徳的価値判断の基準を持たせる。そして、連続的にB型の道徳を行い、役割演技などを仕組み、第三者的に学ぶ意義を見つめ直す。第三次は、学習の仕方や高校進学などについて、悩みの解決を行ない、B型の道徳で、悩み解決のために生じる価値葛に気づかせ、学ぶ意義を自ら見出し、自ら解決することの価値付けを行なう。本実践後の評価基準B以上(おおむね満足)の子どもの割合は、共感的な態度(83%)・合理的な判断(75%)・自己効力(60%)であった。合理的な判断をするように仕組むためには、道徳的価値の自覚(A型)と子どもの主体的な価値表現や価値判断の受容(B型)を組み合わせ、価値基準の形成が大切であることがわかった。共感的な態度を育成するには、資料活用の方法が大切である。そして、(B型)の授業を行うには、批判だけに終わらないように、価値判断の受容まで活動を仕組む必要がある。また、(B型)の授業は、価値判断の受容を促すため、社会的視点を高ることができる。