著者
筒井 千絵
出版者
一橋大学
雑誌
一橋大学留学生センター紀要 (ISSN:1348768X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.79-95, 2008-07-30

外国人住民の急増に伴い、すべての母語話者が日常的に非母語話者のサポートにあたることのできる環境の整備が求められている。しかし日本語能力が充分でない非母語話者とのコミュニケーションにおいては適切な言語調整が不可欠である。本研究においては、日本語母語話者と非母語話者のロールプレイを実施し、母語話者が、母語話者向けに書かれた文章を非母語話者に説明する場合、どのように言い換えるかを調査した。その結果、日常における非母語話者との接触の頻度や関わり方によって、説明のしかたに明確な相違がみられた。日常的に非母語話者との接触が少ない人は、辞書的な意味の説明を多く行うのに対し、非母語話者との接触の多い人の説明はより具体化されていて、例示という方法が多く用いられており、情報の再構成の程度が大きいことがわかった。