著者
篠原 明子 有賀 悦子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.331-334, 2008 (Released:2008-10-24)
参考文献数
11

【目的】今回, 門脈高度狭窄症例において経口投与されたオピオイドにより予測を超えた傾眠を呈し, 投与経路変更にて改善した1例を経験したので報告する. 【症例】下部胆管がんの術後局所再発およびリンパ節転移により門脈高度狭窄をきたした60歳代女性に, 外科で経口オキシコドン徐放錠剤10mg/日が投与され, 傾眠が出現したため当科に診察依頼があった. 生体利用率は低いが分割投与が可能な散剤を用いて, 経口モルヒネ徐放剤10mg/日に切り替え, さらに投与量を5mg/日に減量したが, 傾眠は持続した. これをフェンタニル貼付剤2.5mg半面貼付に変更したところ, 症状が改善した. 【結論】門脈血流低下症例では, 初回通過効果を受けないために経口オピオイド製剤の血中濃度が上昇する可能性があり, 投与時に十分な観察が必要である. また, 経口から経皮へのオピオイド投与経路変更が血中濃度上昇に伴う副作用の改善に有用である可能性が示唆された. Palliat Care Res 2008; 3(2): 331-334