著者
米内 一郎 篠﨑 俊介 山口 はるな
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.92, no.8, pp.213-219, 2019-08-20 (Released:2019-11-02)
参考文献数
11
被引用文献数
1

インク作製過程における顔料粒子の分散状態を明らかにするため,大型放射光施設SPring-8にて,顔料,顔料粒子を分散させるために投入する顔料分散剤,インクの膜物性を与えるバインダー,および溶剤からなるインクの小角X線散乱(以下SAXS)および極小角X線散乱(以下USAXS)測定を行った。結果,散乱プロファイルの形状,とくに構造因子に由来するショルダーの出現の有無により,顔料粒子の分散状態の違いを反映したデータが得られることがわかった。より良い分散状態を得るためには,顔料の表面修飾,分散剤の種類と量の最適化のほかに,膜物性を付与する目的で添加するバインダーも分散安定性に影響を及ぼしていることが,小角X線散乱データから推測することができた。