著者
簑輪 要佑 寺沢 秀雄
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.51, pp.B10, 2004

本研究は人の時間把握方法をモデル化し、時間調整のためのインタフェースを模索するものである。時間調整には様々な要素が含まれるが、今回はその中でも最も単純だと思われる移動という時間調整の実験を行ない、時間調整のモデル化を試みる。インタフェースへの応用の際は、本来は複雑な「調整」という計算行為に対し、目に見えるかたちを与え、問題を扱いやすくするという、J.ラスムッセンのEcological Interface Designの手法を参考にした。実験から、人は時間と距離から基準線を作り出し、それに対して遅れているか進んでいるかを判断していることが分かった。時間の表示方法は2種類あり、タイマーのような絶対時間表示(例:残り10分)という方法と、自分の位置との差を計算した相対時間表示(例:3分遅れ)がある。この相対時間表示を用いることで、時間ぴったりに調整できるようになった。しかし、これだけでは残り時間がわからないという問題が残り、時間調整において不十分であることが分かる。時間調整時の頭の中のモデルを発話してもらう実験の結果から、人は自分の状況を把握しようとしていることが分かった。このことから時間を調整する時は時間調整という状況を複合的に視覚化することが一番有効な方法だということが分かった。