著者
米沢 健
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.58-69, 1978-01-30

胸骨前食道形成胃管吻合術における縫合不全防止策を見いだすことを目的とし臨床的検討を行った. まず縫合不全防止の面から術前栄養状態の改善および十分な呼吸管理が望まれる. 縫合不全は, 進行癌症例に多く, これらに対して手術侵襲が過大とならぬよう注意が必要である. 形成胃管においては, 長い胃管かならずしも有利とはいい難く, 胃は最小限に利用すべきである. 山岸式胃管では比較的縫合不全は少なく, 場合によっは連続性胃管を山岸式胃管にきり変える配慮が必要である. 吻合法や縫合法によっても発生頻度に多少の差があり, これらに対する配慮も必要である. 術後管理により縫合不全は防止しうる面もあり, 術後管理の重要性が痛感させられた.