著者
米沢 美冴
出版者
跡見学園女子大学附属心理教育相談所
雑誌
跡見学園女子大学附属心理教育相談所紀要 (ISSN:21867291)
巻号頁・発行日
no.15, pp.207-219, 2019-03

近年,10代,20代のインターネット利用率,中でも,ソーシャルメディアのひとつであるLINEの利用率が上昇している。LINEには便利な機能が備わっている一方で,「既読無視」や「未読無視」によるLINEいじめや不登校などの問題が生じている。そこで本研究ではLINEの既読無視や未読無視に対してどのような気分状態が生じるかについて,また受け手の愛着形成や送り手に対する好意との関連についても検討することを目的に,関東圏内の女子大学1年~2年生189名を対象に,フェイスシート,POMS2成人用短縮版,内的作業モデル尺度,日本語版Love-Liking尺度からなる質問紙調査を行い,記述統計,相関分析,一要因の分散分析を行った。その結果,LINE既読無視,未読無視をされた際に感じる感情と愛着とは関連がみられないこと。「どちらも不快に思わない」と答えた回答者より,「既読無視をされた方が不快」または「未読無視をされた方が不快」と答えた回答者のほうがPOMS2のネガティブな感情5因子「怒り・敵意」「混乱・当惑」「抑うつ・落込み」「疲労・無気力」「緊張・不安」を感じやすいことが明らかとなった。