著者
米津 光治
出版者
文教大学
雑誌
生活科学研究 = Bulletin of Living Science (ISSN:02852454)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.173-182, 2017-03-30

日本の学校教育における体育は、学制発布以降、その時代の目指す社会的要請を踏まえて、果たすべき役割を担ってきた。日本の学校体育を歴史的に見てみれば、明治以降長い間「体操」を中心に考えられ、人間の身体と運動との関係が重要な問題であった。戦後は、身体の教育から全人教育へとねらいが拡大され、身体の問題だけでなく、人間の教育のために体育が文化としての機能を果たす重要性が議論されてきた。学習指導要領では、生涯にわたって運動を実践する態度や能力の育成が期待されているが、子どもを取り巻く社会環境は複雑化し、健康増進・体力の向上、運動需要などの問題を生涯の生活との関連で考えることが求められている。本稿では、これからの学校体育のあり方や課題について、日本における学校体育の歴史的経緯と現行学習指導要領の検討経過及び体育指導の現状を「運動の教育」を基本的な考え方にしながら検討した。