- 著者
-
米田 陽子
- 出版者
- 日本重症心身障害学会
- 雑誌
- 日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
- 巻号頁・発行日
- vol.44, no.2, pp.403, 2019 (Released:2021-10-30)
はじめに
当施設は、関連の障害者施設の医療を担い、外来看護師は診療介助や週3回の巡回により指導やケアを行っている。そんな中、便秘で来院する患者は腹部膨満感や呑気症、腹筋が弱くていきめず便を押し出す力も弱く、浣腸に至るケースが多いと感じていた。
通院中のC氏は、外来受診の際に浣腸で逃げ回るようになった。そこでC氏のこれまでの便秘改善の取り組みや便秘の原因を探り、排便改善プログラム(以下、プログラム)を作成した。さらに多職種連携で実施した結果、C氏の便秘が改善できたので報告する。
対象
C氏、62歳、男性、知的障害者、障害区分5、療育手帳A、横地分類:D6、難治性便秘、腹部に機能的疾患なし。
方法
C氏の能力に応じた水分管理や腹部マッサージ(以下、マッサージ)、排便時の姿勢などの内容を取り入れたプログラムを作成して支援員と協働で実践した。
結果・考察
プログラム当初はマッサージ率が46%と低く、また支援員は独自の表現で便の性状を記載していた。そこで正確な排便を知ることが必要だと考え、ブリストンスケール(以下、スケール)での記載を勧めた。C氏の便の性状はスケール6で1回量が少なかった。さらにC氏は腹壁の緊張のため、マッサージを嫌がる事があったが、支援員に優しくマッサージをするように促すと緊張が緩和してマッサージを受け入れ排便に繋がった。その事で支援員はマッサージの必要性を理解できた。
一方定期受診の際、主治医に便の性状がスケール6である事を伝えると、緩下剤が減量となった。また緩下剤減量とマッサージ率が79%に上昇により、バナナ状の便スケール4へと移行した。
おわりに
障害者の能力に応じた内容で作成したプログラム内のマッサージを支援員が納得して実施できた事、および正確な排泄記録により便秘が改善できた。施設での看護ケアは支援員が実践できる方策を考える必要がある。
申告すべきCOIはない。