著者
糟谷 泰 河部 和雄
出版者
日本養豚学会
雑誌
日本養豚研究会誌 (ISSN:03888460)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.22-26, 1976-05-31 (Released:2011-06-08)
参考文献数
18

豚精液の低温保存に適する保存液を調製するための基礎資料を得る目的で, 分離採取濃厚精液および保存液構成々分として一般的に用られている9物質の水溶液について, その浸透圧とpHを測定した。1. 分離採取濃厚精液の浸透圧は300~320mOsm/lで, 同一個体内においても採取毎にこの程度の変動があった。2. 保存液の至適浸透圧と考えられる300mOsm/lの浸透圧となる各水溶液の濃度はブドウ糖-5.4%, 脱脂粉乳-10.8%, トリス-3.6%, クエン酸-6%, Na2HPO4・12H2O-4.8%, KH2PO4-2.4%, 重炭酸%Na-1.4%, クエン酸Na-3.2%, グリシン-2.3%であった。3. 分離採取濃厚精液のpHは7.2~7.7と弱アルカリ性を示し, 同一個体内においても採取毎にこの程度の変動があった。4. 保存液構成々分の各水溶液のpHは, ブドウ糖, 脱脂粉乳, グリシン, クエン酸がそれぞれ5.8, 6.6, 6.1, 2<と酸性を示し, トリス, Na2HP4・12H2O, 重炭酸Na, クエン酸Naがそれぞれ10.8, 9.2, 8.6, 8.1とアルカリ性を示した。