- 著者
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糸井 尚子
- 出版者
- 一般社団法人日本発達心理学会
- 雑誌
- 発達心理学研究 (ISSN:09159029)
- 巻号頁・発行日
- vol.19, no.3, pp.243-251, 2008-10-10
- 被引用文献数
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1
本研究の目的は,ピザとチョコレートのアナロジー課題を使用して,幼児の図形比率において円形と四角形の形状の影響を明らかにすることである。4〜6歳児100人を対象児として,円形のピザと四角形のチョコレートの図版を用いてアナロジー課題を実施した。どちらの図版も分割線がはっきりしている状態で提示された。提示図版のピザ1枚全体からある比率の部分を取り除くことを示して,対象児に選択図版のピザ1枚あるいはチョコレート1枚または粒チョコ4個から同じ比率だけ取り去ることを求めた。実験者の提示図版であるピザまたは、チョコは8分割であり,2/8,4/8,6/8の比率を取り去り,対象児の選択図版のピザまたはチョコは4分割であり1/4,2/4,4/4取り去ることが求められた。選択図版は,これらに加えて分離した単位量として粒チョコ4個の課題も実施した。実験者,対象児の間でピザ-ピザ,チョコ-チョコ,ピザ-チョコ,チョコ-ピザ,および,ピザとチョコレートからそれぞれ粒チョコへのアナロジー課題の6課題が実施された。その結果,このアナロジー課題において4〜6歳児が比率を理解していることが示された。また,円形で8分割のピザが提示された場合は他の課題に比べて正答率が低いことが明らかになった。この結果から,図形の形状がアナロジーによる比率理解に影響を及ぼし,同じ8分割でも四角形か円形かによって比率の理解が異なることが示された。