著者
紀藤 圭治
出版者
日本プロテオーム学会
雑誌
日本プロテオーム学会誌 (ISSN:24322776)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.1-7, 2021 (Released:2021-07-28)
参考文献数
58

質量分析やそれに関わる技術進歩がこれまでのプロテオミクス研究の発展に大きく貢献してきたことは,もはや言うまでもない.一方で,他の様々な手法もまた,それらの特性を生かしながら多くのプロテオーム解析に活用されてきた.また,プロテオームを含め大規模解析データは,個々の分子機能の効率的な理解に欠かせないものであるが,生命活動をそれぞれの分子が協調または拮抗しながら営まれている一つのシステムとして理解するための捉え方もまた重要である.そうした様々な技術や視点などについて,筆者が研究対象とする出芽酵母などの微生物を中心としたこれまでの研究例を紹介するとともに,プロテオミクス研究に求められるアプローチの多様性について私見を述べたい.