著者
南山 祥子 留畑 寿美江 井垣 通人 納城 隆一 岩元 純
雑誌
臨床体温
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.32-37, 2009-08

雑誌掲載版市販の蒸気温熱シート(花王)を用いて、温熱による僧帽筋の筋血流や肩甲部の皮膚血流の変化と、肩こりの指標である「痛み」「こり」「はり」を観察し、血流変化が自覚症状に与える影響を検討した。肩こりを自覚する健康な女性8名(年齢32.5±6歳、BMI 20.7±1.9kg/cm2)が長袖のパジャマ、短パン、靴下を着用し、座位で10分間安静の後、蒸気シートを肩甲部皮膚に貼付した。30分後、蒸気シートを除去し20分間安静を行った。肩甲部皮膚温は、33.2から42.9℃まで加温された。皮膚血流はコントロール値2.1±0.9から5.4±3.5ml/min/100gまで増加し、僧帽筋酸素ヘモグロビン濃度も5.2±5.7μmol/L増加した。「こり」と「はり」は有意に低下したが、「痛み」は緩和傾向であったが有意差はなかった。筋血流と皮膚血流の増加は、痛みの緩和と有意な相関を示した。また、筋血流増加は「こり」の緩和と相関し、皮膚血流増加は「はり」の緩和と相関した。これらの結果から、肩の「こり」と「はり」は、異なった発生メカニズムによって生じる独立した症状であることが示唆された。