著者
細野 恵子 岩元 純 Keiko HOSONO Jun IWAMOTO
出版者
名寄市立大学
雑誌
紀要 = Bulletin of Nayoro City University (ISSN:18817440)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.15-20, 2008-03-31

本研究は、小児看護に携わる看護師の冷却ジェルシートに関する知識と発熱児への対応の現状および勤務病院による違いを明らかにし、発熱児への看護の妥当性を検討する目的で行った。北海道内の国公立病院の看護師452名を対象に、発熱に関する知識の程度と認識、発熱児への観察および介入方法を自記式質問紙により調査した。解熱効果の期待できない冷却ジェルシートの使用割合は約3割であった。また、大学病院群の方が公立病院群よりも冷却ジェルシートの使用割合は高く、発熱温度に関係のない多用傾向が認められた。冷却ジェルシートの多用傾向の背景には発熱に関する知識の程度や育児経験の関連が示唆された。
著者
南山 祥子 留畑 寿美江 井垣 通人 納城 隆一 岩元 純
雑誌
臨床体温
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.32-37, 2009-08

雑誌掲載版市販の蒸気温熱シート(花王)を用いて、温熱による僧帽筋の筋血流や肩甲部の皮膚血流の変化と、肩こりの指標である「痛み」「こり」「はり」を観察し、血流変化が自覚症状に与える影響を検討した。肩こりを自覚する健康な女性8名(年齢32.5±6歳、BMI 20.7±1.9kg/cm2)が長袖のパジャマ、短パン、靴下を着用し、座位で10分間安静の後、蒸気シートを肩甲部皮膚に貼付した。30分後、蒸気シートを除去し20分間安静を行った。肩甲部皮膚温は、33.2から42.9℃まで加温された。皮膚血流はコントロール値2.1±0.9から5.4±3.5ml/min/100gまで増加し、僧帽筋酸素ヘモグロビン濃度も5.2±5.7μmol/L増加した。「こり」と「はり」は有意に低下したが、「痛み」は緩和傾向であったが有意差はなかった。筋血流と皮膚血流の増加は、痛みの緩和と有意な相関を示した。また、筋血流増加は「こり」の緩和と相関し、皮膚血流増加は「はり」の緩和と相関した。これらの結果から、肩の「こり」と「はり」は、異なった発生メカニズムによって生じる独立した症状であることが示唆された。
著者
大渡 伸 藤原 真理子 岩元 純 范 育仁 土屋 勝彦 小坂 光男 HW Soeliadi
出版者
長崎大学熱帯医学研究所
雑誌
熱帯医学 Tropical medicine (ISSN:03855643)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.235-241, 1983-12-28

熱帯地住民は暑さに強い事がよく知られている.彼等は,躯幹に比べ四肢が長く,体重当たりの体表面積が大きく,体構成では,皮下脂肪が少なく,能動汗腺総数の増加が見られる等,放熱に有利な特徴を備えている.これらの差異を知る事は,暑熱環境への順化のメカニズムを考える上で重要であると思われる.そこで我々は,熱放散反応のなかから,特に発汗現象に注目し,熱帯地住民を被験者として,一定条件(気温30℃相対湿度60%)下で局所温度負荷をかけ発汗を誘発した.それに伴う深部体温と皮膚温の変化は,それぞれ舌下に入れたサーミスター温度計と,前胸部をサーモグラフィでモニターした.その結果,両膝下部を43~44℃の温湯に30分つけるという局所負荷で,被験者の負荷開始時点から発汗までの潜時は10分であった.比較の為に同一条件で行った日本人による実験では,被験者は,負荷以前に発汗してしまい,潜時は測定出来なかった.この事から,被験者となった熱帯地住民は,日本人被験者に比べ,発汗までの潜時が非常に長い事がわかった.この理由としては,暑熱環境に順化した人の方が非順化人よりも,発汗に関する深部体温の閾値が高いかあるいは刺激前の深部温度が低い為に,同じ強さの温度負荷に対しても,発汗までの潜時が長いという可能性が考えられる.今後データの集積をはかり,更に詳細について検討していく所存である.The sweating response evoked by a local heat load was studied in an inhabitant of tropics in a climatic chamber. The change of skin temperature according to sweating was monitored by thermography. Time lag of the onset of sweating in the subject was about 10 minutes after initiation of a heat load. In such a condition, a Japanese volunteer sweated instantly without any heat load. The central and peripheral mechanism of heat acclimatization was discussed from the aspects of temperature regulation.