著者
細川 端彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PN, フォトニックネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.455, 2010-03-01

周波数は情報通信の重要な基盤であるとともに,最も高精度が得られる物理量としても知られている.マイクロ波領域において,その正確さと安定度は10-16台に達しているが,レーザー技術の進展などにより,光領域においてそれ以上の精度をより迅速に得る可能性が見え初めている.またこのような高精度周波数標準を光ファイバーを通し品質劣化無く遠方へ伝送する技術も急進展している.この大きなきかっけとなったのは2000年に開発され2005年にはノーベル賞を受賞した,光周波数をマイクロ波の精度で光コムであり,そこからさらに,単一イオン標準,光格子時計,超高安定狭線幅レーザーなどが次々とレベルアップし現在に至っている.このような標準技術の高度化は,基礎科学や先端技術開発にも大きな影響を与えている.本発表では原子時計の概要から,光領域での基本要素技術とその現状を紹介し,得られた光精度の周波数標準を光ファイバーで伝送する技術についても紹介する.