著者
細田 喜六郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.1869-1872, 1961-10-01 (Released:2011-09-02)
参考文献数
6
被引用文献数
1

本報告はPVC混和物成形品の亀裂現象に関する基礎的知見を得るために,極限伸長率と伸長温度の関係ならびに残留歪と亀裂発生温度の関係におよぼす,PVCの平均分子量,可塑剤含有量,加工条件などの影響を検討したものである。極限伸長率はおよそ75~90℃で最大となり,亀裂はこの温度を超えてから発生する。PVCの平均分子量が大きくなれば,極限伸長率は増大し,亀裂発生温度は上昇する。可塑剤含有量が増加するにつれて,亀裂発生温度は低下し,極限伸長率は低温においては著しく増大し,高温においては僅かに減少する。また熱ロールによる混練においては,最大の極限伸長率と最高の亀裂発生温度を与える最適の混練条件がある。