著者
維田 隆一 綿秡 邦彦
出版者
JAPAN MACRO-ENGINEERS SOCIETY
雑誌
MACRO REVIEW (ISSN:09150560)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.33-47, 2001

我が国における産業別での二酸化炭素排出量を見ると、民生、運輸部門での排出量の伸びが著しい。本研究では、我が国における二酸化炭素の削減を運輸部門のみで行うことを前提とし、運輸部門の中でも自動車が燃料として用いているガソリンの消費量を削減することを目的とした。消費量の削減には、ガソリンへの炭素税の課税を行い、それによる価格上昇で消費抑制を行うこととする。 炭素税導入には税率の根拠についての議論がまだ完全になされていない。そこで税率の算出には、ガソリンという「財」の性質を見極め、それに基づいた妥当な課税が可能になるように、ガソリンに対する需要価格弾力性の概念を導入することとする。そして、税率の算出とそこから得られた値を基にガソリンへ炭素税を課税した場合の税収や我が国におけるこの種の課税可能性についても検討した。