著者
織田 淳子
出版者
富山大学比較文学会
雑誌
富大比較文学
巻号頁・発行日
vol.5, pp.52-62, 2012-12

坂口安吾作『桜の森の満開の下』は昭和二二年六月に雑誌『肉体』の第一号で発表された短篇小説である。本稿では桜の森の満開の下において、過去・現在・未来は不可逆的時間軸ではなく多重層的に同時並行することを提唱し、男が拒絶していた時間概念の自得が鬼の召喚へ繋がったものとして決着をつける。