著者
任 智美 梅本 匡則 根来 篤 美内 慎也 阪上 雅史
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.293-300, 2007-06-10 (Released:2010-06-28)
参考文献数
17
被引用文献数
1

頭部外傷は救命が優先されるため, 味覚嗅覚障害に関して配慮がなされないことが多い. また報告も少なく, 十分に解明されていない分野である. 今回, 当科を受診した外傷後味覚嗅覚障害6例について, 臨床像, 検査結果, 治療経過を検討した. 外傷後味覚嗅覚同時障害患者6例に嗅覚, 味覚検査, 採血, 性格検査, 頭部MRIを施行した. MRIでは4例に前頭葉, 2例に側頭葉に所見がみられた. 嗅覚味覚検査では検知と比較して認知の結果が悪い傾向にあり, 外傷による嗅覚味覚神経伝達系の直接損傷だけでなく, 中枢性も原因として考えられた. 今後, 外傷後味覚嗅覚障害の病態を解明するのにさらに多くの症例を検討する必要があると思われた.