著者
美田 俊一 小田 成人 足立 満
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.44, no.12, pp.1394-1400, 1995
被引用文献数
4

当科喘息外来通院中の患者90例を対象として, 血中IgE抗体をMAST法, CAP RAST法により測定し, 両者の結果を比較した. さらに, CAP RAST法で陽性, MAST法で陰性であった例について, 吸入誘発試験, 皮内反応およびCAP RAST抑制試験を行った. 両者間の相関はハウスダスト2(r=0.617), コナヒョウヒダニ(r=0.776)およびスギ(r=0.609)で有意な相関が認められた. 一方, 検討した3種の真菌類では両者間に有意な相関は認められなかった. CAP+/MAST一例は, 各々のアレルゲンで1.4〜27.8%であったが, MAST+/CAP一例は0〜2.7%であった. CAP+/MAST一例は, CAP RAST抑制試験, 皮内反応または吸入誘発試験によりIgE抗体の存在が確認された. 以上の結果より, CAP RAST法はMAST法よりも高感度であり, MAST法で病因アレルゲンのスクリーニングを行った際, 陰性であってもアレルギー疾患を疑われる患者において, CAP RAST法等高感度の測定法で再度確認すべきと考えられた.