著者
村上 拓也 越沼 伸也 肥後 智樹 山本 学
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.87-91, 2013 (Released:2013-10-15)
参考文献数
9

下顎骨関節突起骨折において,コントラアングルドライバーを用いた口内法による観血的整復固定術を施行した1例を報告した。顎顔面領域における骨折のなかでは下顎骨骨折が最も多くみられる。観血的整復固定術を行うには,口外法と口内法があるが,口外法は,顔面神経麻痺や皮膚瘢痕などのリスクがある。一方,口内法は皮膚切開,皮弁挙上の必要がなく,顔面神経麻痺や皮膚瘢痕が生じない。術野の明示は口外法に比較するとやや困難となるが,侵襲を最小限に抑えることが可能であり,今回の症例においては術後の機能障害もなく良好な結果となった。以上のことから,骨折部位が関節突起基底部より低位である症例では,コントラアングルドライバーを用いた口内法による観血的整復固定術は有用な方法であると考えられた。