著者
磯村 源蔵 肥田 岳彦 清水 信夫
出版者
日本組織細胞化学会
雑誌
日本組織細胞化学会総会プログラムおよび抄録集
巻号頁・発行日
no.18, 1977-10-20

ラット脊髄のアミン線維の走行および停止を調べるために、2%グリオキシール酸で還流固定した脊髄を凍結乾燥後、ホルマリンガスをかけ(前田、木村法)、15μの交互三連続切片となし、それぞれを蛍光法、渡銀法、およびニッスル法で観察した。アミン線維は脊髄の前角、後角中に分布する他に、白質中を頭尾方向に散在して走行するが、側角には集束した走行を示す。すなわちこの分節的に集束した線維は側角細胞の周囲をかこみ、密な網目構造を形成する。この網目構造を形成する線維の一部は前後にわかれた小線維束となり内側に向い中心管外側の前後で再び各々が小線維束網を形成する。後方のものは反対側へ向い、反対側の側角をとりまく網目構造に混入する。このような左右を連絡する小線維束は、脊髄神経の根系の派出部に対応して存在するようであり、また、側角周囲の分節状網目構造は頚膨大下端から腰膨大上端に限局していて、全体的には梯状を呈していると考えてもよい。これらのアミン線維の起始部、走行および停止の仕方を調べるため、脊髄、延髄および橋の種々の高さをハラスのナイフを用いて切断した。