著者
貝谷 壽宣 難波 益之 加藤 一夫 森 秀樹
出版者
日本組織細胞化学会
雑誌
日本組織細胞化学会総会プログラムおよび抄録集
巻号頁・発行日
no.19, 1978-11-01

ヒト脳の黒質と青斑核の神経細胞には、生後4〜5年からメラニン色素(M)がみられ、加令と共に増加する。本研究ではこれらカテコールアミン産生ノイロンの活動状況を知る目的で、上記部位のM量を定量した。対象は12-82歳の明らかな神経精神疾患を認めなかった40剖検脳を用いた。ホルマリン固定後中脳および橋の中央部を水平断し、パラフィン包埋標本を作製し、各ブロック毎に10μm切片を2枚作り、1枚はニツスル染色を施し細胞がクループの判定に、他の1枚は無染色のまま封入した。無染色標本の黒質と青斑核ではMのみが茶褐色顆粒として検鏡される。この顆粒を走査型顕微濃度計(Nikon Vickers M85)にて定性すると550nm付近にて最大吸光度を示したので、この波長を使用し、バックグランドセット法でMを定量した。1回のスキャンニングに10〜25個の神経細胞が測定できるようシャドウイングした。スキャンニング時間5秒で3回測定し、それを和し、density値をarea値で除した値を各個体間の比較に使用した。対象脳では黒質でも青斑核においてもMは加令とともに増加した。(r=0.72、P<0.001)。
著者
雨宮 次生 吉田 秀彦
出版者
日本組織細胞化学会
雑誌
日本組織細胞化学会総会プログラムおよび抄録集
巻号頁・発行日
no.19, 1978-11-01

研究目的 : phosphorylaseは, 生体においてはグリコーゲンの分解にのみ作用し試験管内ではグリコーゲンの合成と分解に作用するとされている。本研究では, Phosphorylaseが生体においても合成系酵素として作用する可能性を追求する。方法 : ひよこ視細胞副錐体paraboloidにおいては, in vitroならびにin vivoにおいて組織化学的方法を用いてphosphorylase系より合成された多糖体顆粒と, UDPG系を経て合成された顆粒との間には, 明瞭な形態学的差がある。基質液中のUDPGとG・I・Pの量を変え, pHを変えて反応させた時に生ずる多糖体顆粒の形態を比較し, どの経路から多糖体が合成されたかを推定する。この実験をin vitroおよびin vivoで行い, 結果を比較して生体におけるphosphorylaseの合成酵素たりうる可能性を検討する。結果 : UDPGとG・I・P等量pH5.7〜7.4の間では, 常にG・I・Pから合成されたと考えられる大きな多糖体顆粒が生じる。G・I・PをUDPGの1/4量にしてpH7.4にすると, UDPG系より合成されたと考えられる細顆粒が合成される。in vitro, in vivo共に同一結果をえた。結論 : Phosphorylaseは, 生体においても条件によりグリコーゲン合成に関与する。
著者
磯村 源蔵 肥田 岳彦 清水 信夫
出版者
日本組織細胞化学会
雑誌
日本組織細胞化学会総会プログラムおよび抄録集
巻号頁・発行日
no.18, 1977-10-20

ラット脊髄のアミン線維の走行および停止を調べるために、2%グリオキシール酸で還流固定した脊髄を凍結乾燥後、ホルマリンガスをかけ(前田、木村法)、15μの交互三連続切片となし、それぞれを蛍光法、渡銀法、およびニッスル法で観察した。アミン線維は脊髄の前角、後角中に分布する他に、白質中を頭尾方向に散在して走行するが、側角には集束した走行を示す。すなわちこの分節的に集束した線維は側角細胞の周囲をかこみ、密な網目構造を形成する。この網目構造を形成する線維の一部は前後にわかれた小線維束となり内側に向い中心管外側の前後で再び各々が小線維束網を形成する。後方のものは反対側へ向い、反対側の側角をとりまく網目構造に混入する。このような左右を連絡する小線維束は、脊髄神経の根系の派出部に対応して存在するようであり、また、側角周囲の分節状網目構造は頚膨大下端から腰膨大上端に限局していて、全体的には梯状を呈していると考えてもよい。これらのアミン線維の起始部、走行および停止の仕方を調べるため、脊髄、延髄および橋の種々の高さをハラスのナイフを用いて切断した。