著者
本水 昌二 大島 光子 胡 焔
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.667-672, 1993-11-05
被引用文献数
1

2,3,4位にアルキル基を持つN-アルキルピリジニウム塩(アルキル基 : CH_3-, C_2H_5-, C_3H_7-)26種を合成し, イオン会合抽出性について検討した.水-クロロホルム抽出系で, 対イオンとしてエチルオレンジのジクロロ誘導体(Cl_2-EO^-)を用いて抽出定数(log K_<ex>)を求めた.アルキル基の炭素数が増すと抽出性も増し, 抽出定数への寄与分は2,3,4位の置換基では平均0.59,N-置換基では平均0.54であった.アルキル基が同じ場合には, 抽出定数は4位>3位>2位置換体の順に小さくなる.2位置換体は隣接のN-置換基との重なり効果の結果, 3,4位置換体よりも小さくなる.基本骨格(C_5H_5N^+-)の抽出性の尺度(C : >N^+<を基準C=0とする)は約2.2となり, メチレン基の数から単純計算した値(0.59×5=2.95)よりも0.75小さい.これはベンゼン環(-C_6H_5)の単純計算値と実測値との差(0.64)とほぼ一致しており, 閉環効果による抽出性(疎水性)の減少分と見なされる.