著者
藤澤 大介 能野 淳子
出版者
一般社団法人 日本総合病院精神医学会
雑誌
総合病院精神医学 (ISSN:09155872)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.10-17, 2012-01-15 (Released:2015-08-26)
参考文献数
13

認知行動療法は,認知の柔軟性を高め,積極的な行動変化を促す治療であり,レジリエンス向上に大きく関連する領域をターゲットにしているといえよう。認知行動療法を実施する際には,個々の症例に合わせて治療を計画することが重要であり,重症・複雑な症例ほど,こういった“症例の概念化”が重要である。本稿では,レジリエンス向上を意識した認知行動療法の概念化と治療計画の立て方を解説する。重篤な身体疾患への罹患は多くの人が体験する逆境の一つであり,レジリエンスに関する普遍的なテーマを提供してくれると考えられ,がん患者に認知行動療法を適用した事例を解説した。