著者
脇谷 直子
出版者
広島修道大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、電子自治体構築のためのSOAを検討し、個別に開発が必要となる情報システムを限定させ、個々の自治体が情報システムの開発に投入すべき投資を限定できるような提案を行うことが目的であった。本年度は、海外における電子自治体の現状について、各地で取り上げられている課題や、その解決策の考え方と実際の取り組みを、現地調査を含む調査を実施することによって、明らかにすることに重点を置いた。主として、欧州の一例としての英国での電子自治体に関する会議における議論、米国での電子自治体に関する会議における議論および具体的事例報告の調査を行った。調査の結果、明らかとなったことは次のとおりである。米国においては、地方政府が調達に関する基本ポリシーを定めており、SOAのアーキテクチャが調達仕様として定められている例がある。英国で開催された会議では、電子自治体にとって住民の満足度を上げるサービスが重要である点が共通の認識であった。これらの調査結果から、次の点が成果として挙げられる。電子自治体がどのようなサービスをどのくらいの品質で提供すべきであるのか、利用者の視点にたって検討し、目標を設定すべきである。それに基づいて、アーキテクチャを含む実現方法を検討し、標準技術等に対する考え方が明確となるような仕様を、基本ポリシーの一部として公差すべきである。またそのポリシーを、基本調達仕様とすることが重要である。この調査結果および成果は、平成20年度内に論文執筆する予定である。今後の研究課題として、本成果を踏まえ、日本における電子自治体の実現に関する技術や標準への対応を検討し、より現実的で具体的な提案を行うことが重要となる。