著者
興膳 宏
出版者
東方学会
雑誌
東方学 (ISSN:04957199)
巻号頁・発行日
no.59, pp.p44-61, 1980-01
著者
蘆田 孝昭 土田 健次郎 神田 信夫 町田 三郎 興膳 宏 福井 文雅
出版者
早稲田大学
雑誌
総合研究(B)
巻号頁・発行日
1990

近世産出の漢籍は,それ以前のものの復刻再刻等を含めれば膨大な漢籍世界の殆どでカバ-する。本研究はこれらの全体象把握の必要性を認識する各国の研究者と一堂に会し分担研究の成果を発表討議し研究法の交流を可能ならしめる国際会議開催を準備することが主目的であった。そのため既海外出張者の報告・問題提起が当年度前半での眼目となった。研究の結果,海外主要収蔵国への漢籍流入過程の探求が以上の目的を充足させる中心テ-マと認識され,そのため見識ある研究者として,英:ホリウエル・仏:シツペ-ル・伊:ベルトッチオリ・中:路土氏らが招軸人物に一応凝定された。その基底には,福井・蘆田・岡崎らの夫々バチカン・牛津大・北京図書館探訪での成果があることはむろん,国内的には,坂田。蓬左文庫,土田の米沢図書館,福井の妙法院文庫,蘆田の天理等各図書館採訪に,興膳・前田・山田・山本(達)各氏の探訪・協力が与る所大であった。これら国内探求の段階的進展に応じ,年度後半では準備会で仮説の検討,研究会で成果の発表と交流を行いつつ,国内収蔵本の称相把握と研究の深化がはかられたが,論文掲載も期間の短かさに比すれば可成りの量・質を示して開催の有意義性が予想され,更に年末,町田の尽力による域外漢籍国際会議東京開催の申入れがあり,また星島大・韓国建国大・香港大等に類似の企画が現出しつつあるのは本テ-マの重要性が国際的認識となりつつあることの証左とみられ、本会議以前のデモンストレ-ションの必要を各自認識した結果開かれたのが双柿舎漢籍会議で興膳:留学僧将来漢籍・山本明:清末白話小説に見了新成標点・岡崎:北京図書館の漢籍コンピュ-タ-処理等のほか枠例からも立正大:岡田袈裟男:江戸期白話受容・明星大・井上英明:国際会議に見る異文化現象等も加わり,通訳や選営面への協力の内諾が桜美林大植田渥雄氏らと共に得られたのは特記すべき成果であったと言えよう。