- 著者
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舟田 久之
- 出版者
- 社団法人日本気象学会
- 雑誌
- 天気 (ISSN:05460921)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.4, pp.243-253, 1993-04-30
- 被引用文献数
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富山県内の曰降雪量予想に関して,高層風向による降雪分布の予測について調べ,降雪分布型別に予測式を作成した.また,富山県が1988年1月と1989年1月に富山市の東にある三郷において,高層気象観測を行った.これらのデータとアメダス等のデータを用いて立体的に解析して降雪分布を調べた結果,次のことが得られた.(l)輪島における500hPaと700hPaの風向によって降雪分布型が,これまで調査されている方法よりも良い精度で推定できる.(2)上層の谷に伴って500hPaに寒気が流入して気層が不安定となり,湿潤層が厚くなって雪が降る.(3)冬季の季節風時には富山県の北西部は西風,中央(富山市付近)及び北東部は南西風,南部は風が弱く,富山県の北西部は収束域,北東部は発散域となっていた.(4)雪雲は地上の収束域で発達し,雪片は中・下層の風に流されながら落下するため,降雪分布は下層の発散(収束)分布および中・下層の風との関係が深い.