- 著者
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下村 理雄
磯野 正太郎
船瀬 新王
内匠 逸
- 出版者
- 公益社団法人 日本生体医工学会
- 雑誌
- 生体医工学 (ISSN:1347443X)
- 巻号頁・発行日
- vol.Annual60, no.Abstract, pp.147_2, 2022 (Released:2022-12-01)
集中力の向上を目的として,ハチマキを頭部に装着することがある.しかし,ハチマキによる集中力への影響は未だ解明されていない.そこで我々はハチマキが集中力へどのような影響を与えるのかについて研究を行ってきている.本研究においては,集中力は課題への作業効率と正確性に反映されると仮定する.本稿は連続加算課題を行った際のハチマキが作業効率及び正確性に影響を与えるか明らかにする.連続加算課題とは,2つの数字を画面に表示し,それらの和の一の位を連続して解答するものである.本課題では作業効率は課題の解答数及び正答数,正確性は課題の誤答率と定義する.本実験では被験者8名に対し,連続加算課題を6回行う.作業効率について,ハチマキの有無を分類し全被験者の全6回の課題中の解答数と正答数の平均に対してt検定を行った結果,ハチマキ有の方が有意に高いことを確認した.また,各被験者の全6回の課題の結果より,ハチマキに対して好影響または悪影響を受ける群に分類した.ハチマキに対して好影響を受ける群は,課題の序盤においてハチマキの影響を受けるが,終盤においてはハチマキの影響を受けないことを確認した.正確性について,ハチマキの有無を分類し,全被験者の全6回の課題中の誤答率に対してt検定を行った結果,ハチマキ有の方が有意に低いことを確認した.本結果はハチマキの装着により作業効率と正確性が向上することを示唆している.