著者
艾比布拉伊爪木 伊馬木 花田 正明 岡本 明治
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.623-628, 2004-02-15

放牧飼養している去勢牛への併給飼料としてビートパルプを給与し,ルーメン内におけるN化合物の利用および小腸への非アンモニア態Nやアミノ酸供給量に及ぼす影響について検討した。ルーメンと十二指腸にカニューレを装着した3頭の去勢牛をオーチャードグラス(Dactylis glomerata L.)草地に昼夜放牧させ,併給飼料としてビートパルプを供試牛の代謝体重あたり0,15,30g/日給与する3処理区(BP0,BP15,BP30)において,3×3のラテン方格法により試験を行った。草地をパドックに分け,滞牧日数が1日の輪換放牧をした。草地からのOM摂取量はビートパルプの給与により減少したが,全飼料からのOM摂取量は処理間に差はみられなかった。Nとアミノ酸の摂取量はビートパルプの給与により減少した。ルーメン内容液中のアンモニア濃度はBP0区に比べBP30区で有意に減少した(P<0.05)。十二指腸への非アンモニア態Nやアミノ酸の移行量は処理間に差はなかったが,ビートパルプの給与によりルーメン壁からのN消失量が減少し,摂取量に対する十二指腸への非アンモニア態Nおよびアミノ酸移行量の割合は高くなった。