著者
谷本 真理子 芥田 ゆみ 和泉 成子
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.341-355, 2018 (Released:2018-12-21)
参考文献数
62
被引用文献数
9

【目的】日本におけるアドバンスケアプランニング(ACP)に関する研究を統合的にレビューし,現状と課題を検討する.【方法】2011年1月~2017年11月の医学中央雑誌,CINAHL, MEDLINEを検索,日本のデータを用いた研究でSudoreら(2017)のACP定義に沿う論文を選定し,統合的レビューを行った.【結果】選定された39論文のうち,研究方法は基礎的記述研究が最も多く,終末期医療の希望や事前指示の調査が多かった.近年ではACPの実施方法に関する研究もみられたが,診療録調査では患者の価値やゴールを反映したものかが不明,介入研究では介入方法の詳細が不明確等の限界があった.【結論】日本におけるACP研究は萌芽期にある.研究の枠組みとなる日本に適したACPとは何かを医療者と社会が協働して明確に定義し,社会的実装を支援する検証可能な知識の蓄積に資する研究が求められる.