著者
卯野木 健 櫻本 秀明 花島 彩子
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.145-154, 2010-04-01 (Released:2010-10-30)
参考文献数
79
被引用文献数
1 1

集中治療の最終的な目的は,原疾患や合併する臓器不全を治療し,それに伴う生理学的な安定を達成することのみではなく,身体的,精神的に回復し,低下した生活の質(quality of life, QOL)を取り戻すことも含まれる。近年,ICU退室患者の中に,外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disorder, PTSD)や長期にわたる認知機能障害が残る例が明らかになっている。これらの障害に関しては十分な検討が行われていないものの,PTSDはICU在室中の鎮静管理,特にそれに関連する妄想的記憶が要因の一つだと考えられている。また,認知機能障害は低酸素血症などのほか,ICU在室中のせん妄が要因の一つであると考えられている。いずれも,ICU在室中の鎮静管理が関与していることが示唆され,適切な鎮静管理を考える上でこれらの長期的な予後を視野に入れた対応も必要となる。