- 著者
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茂木 肇
仲村 翔太郎
荻原 政彦
齋藤 耕一
木村 光利
- 出版者
- 一般社団法人 日本薬局学会
- 雑誌
- 薬局薬学 (ISSN:18843077)
- 巻号頁・発行日
- vol.11, no.2, pp.142-150, 2019 (Released:2019-10-04)
- 参考文献数
- 12
要 旨:本研究では,高血圧治療薬であるジヒドロピリジン系カルシウム拮抗薬(dCCB)による逆流性食道炎(RE)の発症リスクに関する明確なエビデンスを構築するため,dCCB のタイプ別(L 型,N 型,T 型),用量別および服用期間別におけるRE の発症率の違いをアンギオテンシンII 受容体遮断薬(ARB)と比較することにより評価した.その結果,アムロジピンやニフェジピンのようなL 型dCCB は,低用量からRE 発症率が有意に高く,投与期間に依存してRE 発症率の有意な上昇が認められた.これに対し,交感神経終末膜のN 型カルシウムチャネルの遮断作用を有するシルニジピン,ベニジピンや反射性交感神経増強作用が弱いアゼルニジピンは,用量別,投与期間別におけるRE 発症率の有意な上昇を示さなかった.これらの薬物は,RE の発症に深く関係する下部食道括約筋の弛緩を抑制するため,L 型に特異性が高いアムロジピンやニフェジピンよりもRE 発症率が低かったものと考えられる.