著者
田先 威和夫 茗荷 澄
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.153-158, 1964-06-25 (Released:2008-03-10)
参考文献数
4

黄色とうもろこしを54%含む産卵用配合飼料と,とうもろこしの全量または半量をマイロに置換した飼料を用いて産卵鶏を飼育し,体重,斃死,産卵率,卵重,飼料要求率および卵黄色について調査した.その結果,体重,斃死の状況および卵重については両飼料間に差異はみとめられなかつた.産卵率および産卵に対する飼料要求率においても,統計上明らかな差異は求められなかつたが,全期間を通じてマイロはとうもろこしに劣るように観察された.しかも,とうもろこし飼料をマイロ飼料に変更することにより産卵率は低下し,逆にマイロ飼料をとうもろこし飼料に置換することにより産卵率が向上することから,実用上とうもろこしはマイロよりも優れた産卵用穀物飼料であると考えられる.なおマイロの産卵率を底下させる原因がさらに明らかにされれば,マイロの産卵用飼料に利用される可能性や,とうもろこしに代替し得る量的比率の決定も明らかにされよう.マイロ飼料を与えた鶏の卵黄は,黄色とうもろこし飼料を与えたものよりも黄色度が淡いことが観察された.これはアルファルファミールや, β-apo-8'-carotenoicacid ethylester (β-caroteneの一誘導体)の添加により改善されるが,しかし黄色とうもろこし給与時の卵黄色に完全に復することはなく,卵黄着色効果に対する黄色とうもろこしの優秀性が確認された.