著者
茨木 あづさ
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.255-260, 2019 (Released:2019-11-20)
参考文献数
14

在宅療養者の希望する生活の質(quality of life;以下、QOLと略)を維持するためには、適切な在宅栄養管理が不可欠である。在宅栄養管理を行うためには、病態だけではなく、療養者本人のこれまで生きてきた生活様式や意思・意向を、十分に考慮しながら携わり、支援することを心掛けている。在宅療養者の今後の生活を考えるうえで重要となるのは、看取りも含め医療・福祉・介護機関やそれらの機関に従事する多職種スタッフ、家族・近隣の人たちと緊密に連携することである。連携とは結果が重要であり、栄養管理は継続できなければ意味がない。療養者の最も近くに寄り添い支援することができる、訪問看護による栄養管理が重要だと考える。連携しながら継続的に栄養管理を行い、栄養状態の悪化を予防することが必要である。医療機関に、外来通院している患者でも、食が維持できず低栄養に陥る高齢者も多い。地域や医療・福祉・介護における「地域栄養ケア」の連携、在宅療養者やその家族も対象とした訪問看護による栄養アセスメントに基づいた予防的・継続的な栄養管理が重要である。