著者
浅井 麻衣香 佐藤 宗範 草田 理恵子 松村 一
出版者
一般社団法人 日本熱傷学会
雑誌
熱傷 (ISSN:0285113X)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.101-104, 2021-09-15 (Released:2021-09-15)
参考文献数
9

症例は24歳, 女性. 陰毛脱毛のために脱毛ワックスを電子レンジで加温直後,夫が塗布する際誤って下腹部にこぼし受傷した. 水で洗い流したが,自力では剝れず,当院時間外外来受診となった. 下腹部に2%の浅達性Ⅱ度熱傷を認め, 入院加療を行った. 保存的加療で第8病日に上皮化し, 退院となった. 本症例の熱傷誘因として, 1) 高温ワックスの塗布, 2) 脱毛ワックス加温後の攪拌不足,3)オイルなど皮膚を保護する保湿剤を塗布していない部位への脱毛ワックスの付着の3つがあげられる. 脱毛ワックスによる熱傷は適正な使用下ではまれである. 自宅使用が容易である脱毛ワックスの使用が増えている近年, 使用方法とともに熱傷リスクや適切な救急処置の記載 (冷却しワックス温度を下げる, 油性は水で落ちずオイルや油性成分を含むクリーム剤を用いて落とすなど), 使用者に対しての注意喚起が必要である. また, 医療者も脱毛ワックスの特徴を理解し治療にあたることが望まれる.