著者
草野 剛
出版者
垂井町立表佐小学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

中1ギャップの解消のために、同じ中学校へ進学する小学生を対象としたスポーツ交流会を平成21年度より行ってきた。本研究では、こうした小学校区を越えたスポーツ交流が中1ギャップの解消に及ぼす効果について検証したい。スポーツ交流会(ドッチビー大会)の前後に参加者の児童を対象に質問紙調査を行い、スポーツ交流が中1ギャップの解消に及ぼす効果について検証をした。質問紙については、南ら(2011)の中学校生活予期不安尺度を使用した。期待尺度については、草野(2002)をもとに新たに作成した。ドッチビー大会参加児童全員に質問紙調査の趣旨と手続きについて了解を得て、調査に協力していただいた。有効回答数は112名(有効回答率84.3%)であった。期待得点、社会・文化不安得点、対人関係不安得点のそれぞれについて、対応のあるt検定を行った。期待得点については、t=-4.26, df=111, p<.01で、統計的に優位な差が見られた。スポーツ交流会は身体運動や情動反応を伴うので、不安や緊張を低減したことも影響していると考える。社会・文化不安得点についてもt=-2.79, df=111, p<.01で、統計的に優位な差が見られた。また、対人関係不安得点についても、t=-2.66, df=111, p<.01で統計的に優位な差が見られた。このスポーツ交流会は中学生が進行しており、情報的サポートを得ることで不安が低減されたとも考えられる。また、スポーツ交流会後の児童の感想(自由記述)では、「友だちができた」「どんな子が来るかがわかった」という友人関係の広がりについての記述が多く見られた。また、「中学校での生活について分かった」「中学校の勉強のことも聞けた」というように中学校生活についての情報的サポートを受け、不安が解消したという感想もあり、移行期不安の低減に効果があったと考えられる。