著者
荒井 美帆
出版者
公立大学法人 国際教養大学専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科日本語教育実践領域
雑誌
国際教養大学専門職大学院グローバル・コミュニケーション実践研究科日本語教育実践領域実習報告論文集 (ISSN:21853983)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.38-64, 2019 (Released:2019-10-07)

本稿は,JFL環境における思考力向上を狙った文化授業を考察するものである。筆者は日本国内の予備教育機関において,数年間日本語教育に携わった経験があるが,文化授業を受け持ったことはなかった。筆者が在籍する大学院の日本語教育実習において初めて文化授業を担当したことにより,これまでJFL環境における日本語教育の意義を真摯に考えたことがなかったこと,文化を教える際に必要となる視点が欠けていたこと,学習者の思考力向上を意識した学習目標を設定していなかったことに気がついた。そこで,先行研究からこれら3つの問題点を整理し,文化授業の改善案を提案することにした。文化授業を行う際に必要な視点には久保田(2008)が提唱する4Dアプローチを取り入れ,思考力向上を目指した学習目標のフレームワークにはCLIL(Content and Language Integrated Learning)の特徴である4Cを用いた。