著者
荒地香澄
雑誌
サイエンスキャッスル2018
巻号頁・発行日
2018-11-21

<考察・展望>オオサンショウウオの粘液2種類の結果と、その傾向が似ている5種類の粘液を選び表にした(表7)オオサンショウウオの生息地には、石苔(ケイソウ・ランソウ・リョクソウ)が21種類みつかっている。そのうちの10種類がアユの体内から見つかっている。この食べ物の種類によってアユの香りが変わることは、昨年、高校生の科学部先輩が見つけていた。この考え方を、私のオオサンショウウオの粘液に当てはめてみた。また図4 川底の生産者(付着藻類)と消費者の食物網、フグ毒の生物濃縮。文献のアイガモの死亡例を、昨年までの私の研究の「落葉溜まりのバイオーム」にも当てはめながら考えた。やはり、着想類の体内で生産された毒成分が、生物濃縮されて「両生類毒」としてちくされる可能性は捨てきれないが。この毒素とレクチンあるいはムチンは別の用途の物質であると、これからはわけて考えないといけないと思いついた。つまり、オオサンショウウオは、天敵を追い払うときに臭い匂いを出すが、この中に毒性を持つテトロドトキシンが含まれている否かは、アオコが発生している流域かどうかに左右される。これを確認したのは、飼育施設の個体は臭い粘液を分泌するが、量と毒性が減少しており、この二つの性質は別々に適応した器官だと思われる。今後は、テトロドトキシンそのものを検出する技能を身につけたい。またこれによって、オオサンショウウオの飼育するときの水質や、生息地に理想とされる石苔は何かがわかれば、これを指標とした川の水質管理にも応用できると思われる。